" 一枚のハガキ "
監督 新藤兼人
出演 豊川悦司
大竹しのぶ
六平直政
柄本明
大杉漣
倍賞美津子
大地泰仁
川上麻衣子
津川雅彦
昭和19年( 1944 )夏
呉海兵団から掃除部隊としてやって来た
100名のおっさん部隊
彼らを指揮するのは年下の上等水兵
予科練生のための掃除を1ヵ月して
次の任務は
えらい上官様がくじを引いて決める
60名はフィリピンのマニラに陸戦隊となって行く
30名は潜水艦に乗る
10名は宝塚歌劇団の劇場で予科練のために掃除に行く
天皇陛下より賜った酒1合とスルメ1枚で
打倒鬼畜米英を誓いお別れ会
海軍二等水平直政は
マニラへ陸戦隊となって行くことが決まった
多分命はないだろう
結婚して16年の妻しのぶが気がかり
直政は二段ベッドの下の悦司に
妻からのハガキ1枚を託す
ハガキは読んだと妻に伝えて欲しい、と
悦司は宝塚の掃除に決まった
その後どうなるか分からない
死ぬかもしれんが
白木の箱になって
直政は故郷へ帰る
家は貧しい農家
年老いた父明と母美津子は
しのぶに家に留まるよう頭を下げる
誰かが家計を支えねばならない
しのぶは最初からそのつもり
もう1つ
長男が死んだら次男が跡を継ぐのが習わし
次男の泰仁と結婚してくれと頭を下げる
しのぶは承諾、仕方ない
戦争を呪う
泰仁が町から帰って来る
真面目な青年
早速、4人だけの簡単な祝言
三三九度
初夜
泰仁に赤紙が来る
逃げたくても逃げられない
広島から沖縄へ巡航船で出兵
白木の箱になって
泰仁は故郷へ帰る
父明、心臓発作で死亡
母美津子、首吊り自殺
1945 8.6
ヒロシマに原爆が落ちて
8.15
終戦
悦司は無事に復員
広島県の実家に帰る
100人のうち宝塚に掃除に行った10名は
掃除が終わるとまたくじを引いてもらって
4名が海防艦に乗った
くじに2度もれた残り6名だけが
終戦まで宝塚海軍航空隊にいて復員した
出迎えたのは伯父さん雅彦
親父は悦治の妻と逃げた・・・
新藤兼人98歳
監督になって59年
最後の作品
戦争により身内を失った
遺族の悲しみと怒りを描く
時に芝居がかりな大げさな演出
ジメジメはしていない
新藤兼人は映画の主人公と同じく
1944年呉海兵団に入団し
同期生100人のうち
終戦まで生き残った6人の1人だった
くじ運が良くて
何が悪い?
94人の魂に許されるためには
何かをしなければいけないか
新藤監督は最期まで
新藤監督だった
生き残った者は
誰に気兼ねすることなく
生き続ければいい
2011年 日本映画 114分
ブルーリボン賞 監督賞受賞
東京国際映画祭 審査員特別賞受賞
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