ひかりの暦、石井ゆかりさんと松尾たいこさんの本。 | Keep a journal @ 山脇りこ/Riko's Kitchen

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私は占いに一喜一憂するタイプではないけど、唯一、読んでいる占い?があります。
それが石井ゆかりさん。そういう人多いんじゃないかな。
縁あって手にした『ひかりの暦』はその石井ゆかりさんと、松尾たいこさんの本です。
24節気を柱に、其々の節を象徴する絵と文章で構成されています。

大人の絵本だな、と思って読み始めたのですが、最後は、石井さんってどんな人なのかな?と。
そもそもなぜ彼女の占いだけは読むのか?
決して予言的でも、予知的でもなく、
しかも、簡単に言うと、結局山羊座がどうなるのか、わからない、笑。
しかし、だからこそ、行間や言葉のかけらに、
あるときはすがるように事態が好転する予感を勝手に見つけ、
あるときは、背を押してくれたと勝手に感謝し、
あるときは希望の灯をともすのだと思う。
ここで言う、『愛の力を改めて感じる』とは、あの人とのことかな?とか、
読むたびに想像力を総動員することになるのです。

そして、その占いを書いているその人そのものに、興味を持つことって、あまりないと思うのですが、石井さんは、いつも、この人どんな人?と思わせる。
私は比較的、誰が書いているのか?作っているのか?を重要視する傾向にありますが、
そこをさし引いても興味深い。
彼女の持つ複雑さや深遠さ、文章から放たれる近づきがたい空気が、そう思わせるのでしょう。
しかし、今回の24の小編でも、ガードは超合金並に固く、
一見パーソナルな話を書いているようで、
それはよくよく、しかも形よく整えられていて、
まったく近づくことはなかったのですけど、故に、うーん、どんな人なんだろうね、
と余計に感じてしまいました。

私は、40歳になるのを楽しみにしていて、
なぜなら、40を過ぎたら、性別を超えた存在になれるんじゃないかと、思っていたからでした。ところが、意外にそうでもなくて、がっかり、笑。
そして45歳を超えて?やっと、楽しみにしていたところに来た気がしています。
人によっては、フランス映画さながらに、一生女性として魅せたい、見られたい、と
文字通り思う方もいるようですが、私はずっと、女性であることの厄介さを持て余していて、
扱いあぐねていました。ファッションや自分を飾ることに興味がないという意味では
全くありません。ただ、自分の内面と外見のギャップのようなものに、
ややうんざりする部分もあって(親しくなればすぐにわかるんですけどね、誰とでも親しくはならないわけなので)柄にもなく、悩んだりも。
色気がいらないと言う意味でもなく、
できれば性別を超えて人としての色気があるようでありたいなあ、と。
石井さんも、実際に知りもしないのになんですが、そういう種類に属しているのかなと、
唯一、ガードの隙間から、まさに垣間みた気がしています。

そんな石井さんの、文章に、松尾さんの絵。

私はちょっとミスマッチなんだな、と実は思いました。
きっとだからこそ面白いのでしょう。
松尾さんの絵が大好きな人も、これまたたくさんいらっしゃると思うので、
その良さを語るのはおこがましいのでやめますが、ひとつだけ言わせてください。

松尾さんの絵には、幸福感あふれる色やタッチが、集積され完成すると、
こんなにも不安になるんだな、と思わせる魅力があります。と、私は思います。
実際の日々でも、そうです。自分自身が幸せすぎると、
この辺で雨くらいになら、あったほうがいいな、とか、帳尻を合わせたくなるタイプなので、
そこに惹かれるのかもしれません。
だから、どちらかというと、絵の上で、彼女には超合金のようなガードはない。
心配も不安も、この後、雨になりそうな、曇りのない青い空も実に無防備です。
うす桃や、水色、ペパーミントグリーンに、かえって胸騒ぎを感じることさえある。
実際、いつも涙目で見つめる少女が浮かんでくる。
ここが、ミスマッチ。もっと詩のような、エモーショナルで短い文章を、
ふとあわせたくなってしまいます。ただ、そうじゃないところがいいんだろうな。

私は、松尾さんの鳥の絵が好きです。ひばりやつばめなど、
この本ではたくさん見られて、素直にうれしい。そして、もうひとつ重要なことを。
原画との関係からか、本の装丁などでは見られない、筆の流れがはっきりとわかります。
絵の具の厚さまでわかるような。
それがとてもよくて、ああ、人が描いているんだな、と当たり前のことに感動しました。

一気に読むのももちろんおすすめですが、
ベッドサイドにおいて、24節気にあわせて、眺めるのもおすすめです。
そうそう、きっと、この文章は感想文としては今ひとつかと思います、汗。
あたりまえのように季節の中にいる私たちに、あらためて季節のあるステキさや、
ありがたさ、特異さ、を感じさせる本であるのだと思うので。

ちなみに、今は、雨水(うすい)、雪散じて水となる也、雪解けの頃。
ま、全国的に大雪ですけど。雪の引きこもりにもぴったりな本です。

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