八木啓代さん著の「ラテンに学ぶ幸せな生き方」を読みました。

心に残ったのは、アリとキリギリスのお話。私の知っている話は、
冬になって食べ物のなくなったキリギリスは死んでしまいます。
そうならないように、せっせと働きましょうねというおはなし。
でも、ラテンでは、アリは、歌う楽しさも知らず働きすぎていたことを反省し、
キリギリスを迎え入れて楽しく冬を越します。
なんて素敵な話なんだろう。
ラテンでは芸術家が高く評価されるといいます。
人々を音楽で楽しまる人、感動させる人は、
立派で豊かな仕事なのだそう。
きっと、路上のミュージシャンも尊敬されて愛されているのかも。
行ったことがないのでわかりませんが・・・。

ラテンの挨拶は褒めまくるというのもいいですね。
挨拶は褒め言葉だそう。
しかも、これがお世辞じゃない。
人のいいところを探す訓練ができていて、
そこをほめる。恥はかかせないというのも、
真にやさしいなあと感じます。

南米というと、政情不安だったり、麻薬戦争だったりをイメージしますが、
この本の冒頭、驚きの数字が出てきます。
日本の自殺者、年間3万数千人。13年で40万人。
それに対し、メキシコ麻薬戦争の死者。
年間7600人(2009年)しかも、大半はマフィアの人間。
コロンビアの内戦の死者。30数年で20万人。
エルサルバドルの内線。10年で7万人。
いかに、日本の自殺者が多いかに唖然とします。
どっちが幸せ・・・。
で、正反対のキリギリスが問いかけてきます。

同情という行為に隠れた上から目線でなく、
おせっかいを恐れず、相手の痛みを理解しようとする
共感力をもっているラテンの人々。
失業しても知り合いの家にころがりこめる。
日本では、親のもとへも行けず、路上生活者となり、
ライフラインからもはじきだされてしまう。

本の帯には、超格差も貧困も「しょうがない」で割り切っちゃう
とあります。
わああ、なんてさっぱりスッキリ。
私も学びたいと思いました。
みんながお節介になったら、孤独死も減るんだろうか・・・。

ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)/八木 啓代

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