外伝「海猫深の祈り」



私は子供の頃に


神様の声を聞いた


声というかイメージだったかもしれない


その声は私に言った


描きなさいと


私はその言葉に導かれるまま


ずっと絵を描いて来た


私は神様に見てもらうために


ずっと、ずっと描き続けてきた


それだけで良かった


それだけで結構幸せを感じられた


人は好き勝手に私を批評して


時々トゲのようなものを感じながら


まるで針でつつかれているような視線も気にしないで


ただ絵を描いて来た


でも、私は出会ってしまった


私を私として付き合ってくれる相手と


皆に我がままを言って日本の中学校に通って本当に良かった


他の人は多分知らないだろうけれど


妬みと言う感情は決してなまやさしいものではない


或いは不思議な生物でも見ているような目線にもなれたけれど


私をただの人として扱ってくれた子は何処にもいなかった


確かに少しばかり


皆と違う所をみているかもしれないけれど


私の心はみんなと大差ないのに


傷つけば痛みを感じるのに


誰もそれに気がつかない


私も気にしないように生きてきた


だけど


まるだけは違った


生まれた国の日本の中学なら普通の子として生きられる気がしたけれど


結局他の国と同じで


私の居場所は何処にもなかった


私には妬みの痛い目線も


好奇心のまなざしもいらない


結局いつものように一人で屋上で昼食をとる事になる


そうしたら同じように


まると黒子がそこに居た


黒子は何処か自分と似ている同類だと直ぐに判ったけれど


まるは違う


彼女は、そんな黒子に対しても私に対しても


他の生徒と変わりない態度で付き合おうとしてくれた


そんな何気ない態度だけで


いままで感じる事は出来なかった


私がここにいるのだという感覚を覚える事が出来る


私はここに居ていいんだと思える


私が何故日本の中学校に通いたかったのか


その理由が、まるや黒子と出会う事で理解できた気がする


きっと、ここに居て良いんだと思いたかったに違いない


この星が自分の居場所だと思えないまま生きてきて


だから神様の懐へ早く帰りたいと願いながら生きてきたけれど


今はここで生きていても良いと思えるようになれた



あの時、私が大賞なんて取らなければ


平凡な女の子として生きていけただろうか?


良心の心が離れることは無かっただろうか


私と比較され続けてきた


妹の心が壊れずに済んだのではないだろうか


姉は私の面倒は見てくれているけれど


心のうち深い憎しみを私に抱いている事は感じている


離婚こそしていないけれど


パパとママの心は最早触れることすら出来ない位離れている


私が絵を描き続ける限り


家庭の外枠だけは壊れずに維持できている


それでも


私はただ絵を描く事が出来るなら


それで良かった・・・


そう思い込んで生きてきたのかもしれない


でも私は出会ってしまった


私も普通の人間だと思わせてくれる子たちと


今までは


ただ神様の声に応えるだけで良かったから


一度も神様に願った事などないけれど


生まれて初めて私は神様に願いをしてみる


どうか、まるを守って


彼女の似顔絵をあなたに捧げます


どうか彼女を守って下さい


私は両手を広げて天にいる神様に祈りを捧げてみた


人には失いたくない存在があるのだろうけれど


私は今までそんなものは何もなかった


いやあったけれど


今はもう消えてしまっている


そんな私だけれど


まると出会ってしまった


自分もみんなと同じ人間だと思わせてくれた彼女は


今私にとってかけがえの無い大切な友達となっている


この感覚はきっと普通の人間の感覚で


私は今思いっきり普通の人間なのだと認識できるよ


まるを守って下さい


そんな私の前に私と同じにおいのする黒子が現われた


「面白いプランあるね、もちろん乗るだろう、まるを助けられるねきっと」


「まるは助かるの?」


「アイツはこんな事で消されるタマじゃないね、だけど危険な状態だから少しで助けするね、そのためには有名人のあんたの名前を利用させてもらうけど不服ある?」


もちろん、この魅力的な申し出を断る必要を私は感じなかった


「へぇ~私にもまるの為に出来る事があるんだ」


「看板に絵を描くだけではないね、あんたにはその力が充分にある、もちろん私のハッキングの力が不可欠だれれど、私としてもあんな面白い奴がいなくなるのはツマラナイから」


私はダンスの申し出を受けて


了解したというレディーのお辞儀をしてみせた


「いいね、ダンシングの始まりだ、もちろん踊るのは私等ではなく、奴等だけどな、どんな踊りを見せてくれるか楽しみだ」


黒子はとても美しい顔をしているのに


笑い声は不気味だった・・・


まるで黒い魔女のように不気味な笑いが響いた


だけど、まるが助かる道があるなら


私が出来る事ならなんでもしようと思った


第二十二話 「才能と人格は別物である事」


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続きと言うより


海猫深の気持が溢れてきてしまって(--。。


なにやら描かされた感じですが


外伝として書いて見ました


仕事がひと段落つくまでは


続きが書けそうに無いかもですΣ(@@。。


すみませんあせる


物語を書いていると時々キャラの思いのようなものが溢れてくる事があるのです


話が足踏み状態になるのですが


こうなると描かずにはいられなくなってしまって


でも本編は全然進んではいないのですけどね(--。。



読んで下さってありがとうございます☆☆☆


海猫深の家庭の事情も見えてきましたねΣ(@@;)


妬まれて孤独を感じて生きてきたのも感じられましたが


そういう事もあるかな~と書きながら思いました(≧▽≦)


作者のクセに海猫深についてはあまり考えていなかったので


今回はちょっとびっくりです∑ヾ( ̄0 ̄;ノ


続きが先になるかもですが


許してくださいね(--。。


まる☆

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