アメイジング・ブロンデル/ブロンデル | EVERYBODY'S TALKIN'/噂の音楽四方山話

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60年代~70年代の洋邦楽、ジャズ、クラシックの個人的に好きな曲のみをご紹介いたします。また自分のライブハウスでの弾き語りなどの情報、その他の趣味なども。

 かなり以前になるが、ソニー社が一風変わった、あるいは殆ど知られていない洋楽(ロック)のCDを 「こんなのどうだ!」と称して、何枚か発売していたことがあった。
 そこで私もこれを真似して新テーマを設けました。
題して


新テーマ「こんなんどうでっしゃろ?」


というタイトルで、今後も発作的にあまり知られていないけれど、結構良い音楽を洋楽・邦楽・クラシック・ジャズ、CD、DVDを問わず、ご紹介していこうと思う。


その栄えある第一回目として下記アルバム、

「アメイジング・ブロンデル」の
「ブロンデル」というアルバムを取り上げたい。




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 アメイジング・ブロンデルヤードバーズのオリジナル・メンバーでベースを担当していたポール・サミュエル=スミスがプロデュースしてデビューしたバンドである。

 ヤードバーズでは彼がそのほとんどの曲のプロデュースを担当したのだが、色々他のメンバーとのストレスがあり、1966年5月にバンドを脱退、アメイジング・ブロンデルのファーストとセカンドアルバムのプロデュースを担当した。彼は「アメイジング~」以外には

 「キャット・スティーヴンス」「カーリー・サイモン」あるいは、プログレの『ルネッサンス』もプロデュースしているので、このように紹介してゆくと、「アメイジング~」がどんなサウンドなのか、ある程度お分かりになろうかと一瞬思われるだろうが、実体は、今述べたアーチストとは、かけ離れたサウンドの持ち主で、ほとんど「ワン&オンリー」の存在。


 この
5作目「Blondel」の前までのアルバムは、「プログレッシヴ・ロック」のジャンルにいるバンドとして紹介されたり、一方で純クラシックの見本としても紹介されたりと、安易にジャンル分け出来ない音楽性をもつグループであるが、本日ご紹介する5作目「Blondel」はかなり聴きやすい作品でジャンル的にフォーク・ロック+トラッドと見て良いと思う。

まずは今までに発売されたオリジナルアルバム(多分下記の9枚と思います)とメンバーのご紹介を
①「The Amazing Blondel」(1970)テリー・ウインコットとジョン、グラッドウィン
②「Evensong」(1970)テリー・ウインコット、ジョン・グラッドウィン、エドワード・ベイアード
③「Fantasia Lindum」(1971)テリー・ウインコット、ジョン・グラッドウィン、エドワード・ベイアード
④「England」(1972)テリー・ウインコット、ジョン・グラッドウィン、エドワード・ベイアード
⑤「Blondel」(1973)→(今回ご紹介の作品)テリー・ウインコット、エドワード・ベイアード
⑥「Mulgrave Street」(1974)テリー・ウインコット、エドワード・ベイアード
⑦「Inspiration」(1975)テリー・ウインコット、エドワード・ベイアード
⑧「Bad Dreams」(1976)テリー・ウインコット、エドワード・ベイアード
⑨「Live In Tokyo」(1977)テリー・ウインコット、エドワード・ベイアード


このように「アメイジング・ブロンデル」はデュオになったりトリオになったりしている。


さっそく聴いて見たいが、その前にこのアルバムのバック・ミュージシャンのご紹介。


これが実はまたまた凄い!


AMAZING BLONDEL 「BLONDEL」 (1973)
英EDSEL EDCD 460 (CD/1995)
※日本盤は確か発売されたことは無いはずである。


AMAZING BLONDEL are
Eddie Baird Vocals&Guitars
Terry Wincott Vocals&Guitars,percussion,flute,crumhorn,piano,recorders
with:
Steve Winwood(Bass)
Simon Kirke(Drums)
Adrian Hopkins(Harpsichord&Strings arrangements)
Poul Rodgers, Sue Glover, and Sunny Leslie
vocal on Weaver's Market
Strings led by Jack La Roche

 ということで、ついこの間、ご紹介した井上陽水の「二色の独楽」同様、このアルバムも70年代ロックのファンにとっては、結構サプライズ人事であることがお分かりであろう。特にベースのスティーヴィー・ウインウッドポール・ロジャース&サイモン・カークの「フリー」のメンバーが注目される。他のフリーのメンバーである、ポール・コゾフアンディ・フレイザーあるいは山内テツが参加していないのは残念ではあるが、そのことからポール・ロジャース&サイモン・カークが「バッド・カンパニー」を結成する直前の録音であることが分かる。


ではいつものように机上にて聴いてゆきたい。


SIDE1
1 Prelude
息の長いストリングスと牧歌的なホルンで緩やかに始まり、その後数々の木・金管楽器が断片を吹いた後、アコーステック・ギターが切れ目なく奏され2へ移行する。


2 The Leaving Of The Country Lover
 この曲も牧歌的な非常に美しいフォーク・ソング風のナンバー。ハーモニーも素晴らしいが、S&Gの「アメリカ」のように時折激しく入る、サイモン・カークのドラムの音もカッコイイ。そしてF.Oするのだが、再び1のストリングスが残ったままで3へ続く。


3 Young Man's Fancy
 これも爽やかなコーラスを伴う美しい曲。70年代の代表的なフォーク・ナンバーに選出されても違和感の無いほどの出来で、この曲を初めて聴かれたら、「まだこんな曲がまだあったのか!」と驚かれるだろう。それ程の出来だ。そして再び1のストリングス&ホルンを残したまま4へ突入。(但しここでのメロディは多少最初とは変奏されている)

4 Easy Come, Easy Go
 一転エキサイトなナンバー。やはりドラムが良いが、エディー・バードの寸分狂わぬリズミックなギターが素晴らしい。
勿論ハーモニーも聴きどころだ。エディーのギターの腕前の凄さは次の5でよりはっきりする。

5 Solo
 これはエディのギター・ソロ。丁度このアルバムが、発表された頃全盛だったフォーカスにおいて、しばしばヤン・アッカーマンが行っていたものと同じ、クラシック的小品へのアプローチだ。このギター・インストナンバーは何のコマーシャルだったか忘れたが、当時のCMのバックでも聴かれた。


SIDE2
6 Sailing
 そして再び伸びやかなボーカルが素晴らしい佳曲。この曲もヒット性のある曲と思うが、現在ではまるで知られていない名曲。それにしてもストリングスが美しい。

7 Lesson One
これは完全にエディのギター弾き語り。こんなナンバーを小さなライブ・ハウスで聴けたら最高と思えるナンバー。

8 Festival
 ここから、バック・コーラスにポール・ロジャースが加わる。テリーのフルートのオブリガードが素晴らしい。この曲などを聴くと彼らが何故あまり売れなかったのか疑問が残る。最後はテリーのピアノで終了。

9 Weaver's Market
 この曲ではついにポール・ロジャースがリード・ボーカルまで担当。どういう経緯でこのようなセッションになったのか分からぬが、これは、ビートルズのアルバムに突然エリック・クラプトンがヴォーカルで参戦したような衝撃的な曲。(そんな曲は実際には勿論無い)
曲はバッグ・パイプの雰囲気を利用した非常に英国的なドラッドナンバー。同じヴォーカリストにスー・グローヴァー、サニー・レスリーという名が見えるが彼女らはいずれもエルトン・ジョンなどのセッションに参加している。他の曲と雰囲気を異にするナンバーだが、これはこれで素晴らしい出来となっている。

10 Depression
 再び美しいギターを生かした、フォーク・タッチのナンバー。これも素晴らしいとしか言いようのない弾き語り風ナンバーであるが、リズム・キープが難しそうだ。しかしそれをいとも簡単に演奏している感がある。


とまあ、「こんなんどうでっしゃろ?」の1回目でした。このアルバムは日本盤は無いが輸入盤なら時々大型輸入専門店で在庫があるのを見かける。興味を持たれた方は、是非探してゲットしてもらいたい。