鳩山郁子『ダゲレオタイピスト』前編
John Howardで「Kid In A Big World」でした。
2009年3月に刊行された、
鳩山郁子『ダゲレオタイピスト ―銀板写真師―』。
前編では、いつもと趣向を変えて、
どのように表紙のデザインが出来上がっていったのかを、
順を追って書いてみようと思います。
*
まずは、事前に出版社から送られてきた、
原稿のコピーを読むことからはじまりました。
それからしばらくして、作家さん、担当編集者さん、
そしてボクの三人による打ち合わせが行われ、
台割やスケジュール等の確認を。
その時点で、デザインに関してはまったくの白紙ながらも、
色の方向性だけは明確に決まったような記憶があります。
それを踏まえて、描きおろしとなる表紙用の絵は、
“モノクロのペン画”ということになりました。
当初は作家さん自身の著作ということもあり、
自由に描いていただき、
ボクはレイアウトに徹しようと思っていました。
ところが(作家さんの)それまでの経験上から、
表紙画は“デザイナーのディレクションに従って
描く方がやりやすい”ということに…。
そこで再度じっくり内容を読み込んで、後日、
(CDジャケットを創るのと同じような感覚で)
導き出したアイデア・スケッチがこれ。
これに対し、やはり
“いっぺんに(一枚絵で)描くのは難しい”
ということで、パーツごとに描いたものを
こちらで合成することに。
ボクとしては、すでにこの時点で
本番の絵を描いていただいてもよかったのですが、
作家さんからすぐさまラフ・スケッチが送られてきました。
これはその中のほんの一部。
これらを元に、一枚の絵を組み立てていきます。
ついでに帯も(原稿はまだないので適当にでっち上げて)
なんとなくデザイン。
ラフ・スケッチのおかげで、
かなり明確な完成型が見えてきたところでいよいよ本番。
合計20~30種類くらいの絵のパーツが送られてきました。
バランスを考えながら、それらを慎重に、
本のサイズぴったりに組み立てていきます。
こうして出来上がった絵は、
陽画を陰画に反転して使用するため、
原画はこのようになっています。
そして、文字をレイアウトし、
色に関しては“こうなるはず”という、
打ち合わせ当初からの“憶測”で指定。
紙や色のパターンをいくつか見比べたうえで、
遂に完成。
昆虫が好きだった子供の頃、
蝶の翅に触れたあとに
指先に付着した虹色の金属光沢。
最初に浮かんだのはそんなイメージでした。
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My all-time favorites
#98
曲は、Queenで
「Good Old Fashioned Lover Boy/懐かしのラヴァー・ボーイ」。
想像力喫茶室『バラ・グラフィック』にようこそ。