三角合併提案を受けている東光(6801)、興味深い点が多い | Investment Nuggets

三角合併提案を受けている東光(6801)、興味深い点が多い

 米ベル・フューズ社から経営統合の提案を受けている東光(6801)が話題であるが 、このネタにはいくつかの興味深い点がある。

 まず、米ベル・フューズ社が今年5月解禁の三角合併による統合を申し込んでいるという点。東光はメリットがないとして統合案拒否。この提案は、解禁後の第一号かというのがおもしろいのであろう。まあ、無理だろうが・・・。とはいえ、経営統合提案そのものが発覚して以降、同社株は200円台から400円台後半まで上昇している。3期連続赤字の同社だけに、買収プレミアムだけで株価が上がっているとしか言えない状況だ。


 そして、東光が3月中旬にアルプス電気との資本業務提携を発表している点。アルプスが総額5億円で東光株を取得するらしい。要するに買収防衛策のようです。同社は買収防衛策ではないと主張してます 。この提携では、ベル・フューズ社が売却すべきとした半導体事業でアルプス電気と協力するとのことですから 、意識してないとは言えないのだが・・・。

 しかし、アルプス電気にしても、今の東光株を買うことはとても危険だと思います。ベル・フューズが統合断念の発表をしたら株価暴落は必至ですから。東光が再度200円になっても、業務提携効果が大きいと主張できるのだろうか。


 そして、最も興味深いのが統合提案を申し入れているベル・フューズ社(Bel Fuse Inc)自体が、買収提案を受けている点 。この点は、グーグルニュースもヤフー掲示板も2chの東光スレにも、日経金融4/4の特集にも、日本語サイトには全く載ってません。なぜだろう?俺の読み違いかな?統合提案しているベル・フューズも買収提案されており、買収プレミアムにより株価が20%以上も上昇している 。一方で、東光も買収プレミアムにより株価が上昇している。そう、東光もベルも両社とも買収プレミアムがついているのです。皮肉なことに、東光にとっては、同社株の上昇でこれ以上ベル社が買い増しをしにくくなるはずが、同社株の上昇で三角合併なら都合がよくなっているようです。

 そうは言っても、自分のところが他社からofferを受けている最中に、嫌がる東光との交渉ができるわけないでしょう。日経金融新聞によると、東光が2月予定だったトップ会談を延期した代替案として、提示したベル社との話し合いも「都合が合わない」とキャンセルしたらしい。そりゃ、忙しいだろう。それどころじゃないだろう。

 総合的に考えて、ベル社が東光と統合することはないであろうから、買収プレミアムが滅失するのは時間の問題であろう。貸借銘柄みたいなので、これは空売りすべきですよね(かなり久々の投資判断)。


【各社の時価総額比較(1$=118円)】

Technitrol Inc  1,298億円

Bel Fuse Inc 542億円

東光 458億円

(2007/4/6現在)