タケアウト! | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

予定では昼前に到着し、ホテルのチェックインの14時までの間を、昼食がてらぶらぶら観光していたはずの沖縄だったが、飛行機の遅延の影響で、人生初の沖縄に降り立った時は、もう午後2時近かった。
ランチタイムはとうに過ぎていた。
前向きに考えるならば、チェックインまでの間を慣れない土地をぶらぶらあてもなく歩き回らずに済んだ。
空港からタクシーで直にホテルに向かう。
当たり前だが、ロビーで待たされることもなく、我々、つまりマリイと俺とは、すんなり部屋へと通された。
しかし、ゆっくりくつろいでいる場合ではなかった。
はるばる沖縄くんだりまでやってきたのだ。
ただベッドに横になってテレビを眺め時間を過ごすわけにはいかない。
取り敢えず外に出て、沖縄の大地を踏みしめなければ。
しかし、実際ホテルから外に出てみたものの、選択したホテルが繁華街から外れたところにあったせいもあって、あたりには沖縄らしいカフェやらレストランやらは見当たらなかった。唯一、二車線道路の中央分離帯に立ち並んだヤシの木が、ここが南国なんだということを物語っていた。
港が近いのか、無機質な人気のない倉庫が道路側に大きな鉄扉を向けて立ち並び、空はどんよりと曇っていた。
波の音は聞こえず、時折主幹道路を走る、バスやらトラックやらの物々しいエンジン音だけが、近づいてきては遠のいていった。
10分ほど歩いた頃だろうか。ただ黙々と歩いていた俺の目に、一つの看板が飛び込んできた。
「こっち」というように矢印が太く書かれ、その上に「お食事処」の文字が見えた。
「お、食堂があるっぽいよ!」
俺は目を輝かせ、隣を歩くマリイに声をかけた。
羽田での待ち時間、ずっと酒を飲みつづけていたとは言え、腹はそこそこに空いていた。
それはマリイも同じだったようで、行ってみるかの俺の意見が却下されることはなかった。
矢印の方向に曲がってみた我々だったが、向かった先には港があって、多数のコンテナが積み上げられていた。そしてその一角に目的の食堂があった。
恐らくに、港で働く人をターゲットにした食堂なのだろう。
無駄な装飾は一切ない、「お食事処」の看板が無ければ、ただの倉庫にしか見えないトタン張りの建物だった。
しかし、建物の中に足を踏み入れれば、そこはとっくにランチタイムは終わっているというのに、そこそこの盛況ぶりで、空いている席のほうが少なかった。
先客の様子から察するに、セルフサービス。注文を厨房の店員に告げ、出来上がったら呼ばれ、自ら取りに行き、食べ終えたら、厨房に下げに行くというシステムのようだった。
壁には沖縄らしいチャンプル系や、ラフテー、ソーキソバなどのメニューがめだっていた。しかし、焼きそばやらチャーハン、かつ丼などのメニューもある。
ここはチャンプル系を二品、それにソーキソバでオリオンビールとするか。
と、腹を決め、注文を告げようとして、「えっ!」と目が飛び出した。
ちょうど出来上がったチャーハンが先客に出されたのだが、その量がまるで山だったのだ。どうみても4人分はある。
あらためてあたりを見渡し気づいたが、テーブルに乗った料理はどれも大盛りだった。
一人一品食べきれるかも疑問だった。
中には一家四人で一つの皿を囲んでいるテーブルもある。
チャンプル二品にソーキソバ各自一杯なんて無謀もいいところだった。
そんなわけで、マリイがゴーヤチャンプル、俺が焼きそばをたのみ二人でそれを折半しながら飲もうということになったのだが・・・・

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翌朝もゴーヤチャンプルと焼きそばになったのだった。

以上、持ち帰りOKで助かったという話でした。

※タイトルはtake outをローマ字読みしただけで、特に深い意味はありません。