「ゴールデンスランバー」読みました | Marc のぷーたろー日記

「ゴールデンスランバー」読みました

ゴールデンスランバー (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
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伊坂幸太郎さんによる、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられた男の 2日間に渡る逃亡劇を描いた作品を読みました。

Wikipedia「ゴールデンスランバー」



面白いと言えば面白い作品でした。クライマックスシーンでは文字通り「手に汗握る」ドキドキ感を味わえましたから。


でも、イマイチハマり切れなかったんですよね…。


そもそも「日本と似て非なる」「ほんのちょっと近未来」なパラレルワールド的日本 (の仙台) を舞台にしているせいもありますが、真に迫るもの、もっと端的に言えば「リアリティ」が全くなくて、終始一貫して「絵空事」にしか見えなかったのです。

もちろん、権力による「監視」「統制」の恐怖は、この物語ほど極端ではないものの、現実の世界にもありえるものなのですが、伊坂さん特有の渇いた筆致のせいで、とっても軽くて深刻に見えず、だから心に全く響かないんです。

また、主人公を含めた登場人物たちの言動も、全てがご都合主義的で物語の展開のために作者に無理矢理「動かされている」感が強く、普通の人間の自然な言動とは到底思えません。

それに、権力側の行動も、「そこまでやるのに、何でここまでやらないの?」という中途半端さに矛盾を感じて、全く怖く感じられませんでした。

他にも、ところどころに頻繁に挿入される学生時代のシーンが、ストーリー展開のテンポを崩していて読んでいてかなりイライラさせられましたし。


とにかく読んでいて不満ばかり感じてストレスがたまりましたが、それでもこの手の「濡れ衣逃亡モノ」にありがちな「ヒロイックなハッピーエンド」とはかけ離れた、かと言ってバッドエンドとも違う終わり方は新鮮でした。


因みに本作は、昨年、堺雅人さん主演で映画化されています。配役を見る限り、僕が読んでいてイメージしていたものとさほど大きくかけ離れていませんし、特に主人公の父親役の伊東四朗さんとキルオ役の濱田岳くんは完全にイメージ通り。これだけでも映画版を観てみようかなと思えて来ます (^^)v

映画「ゴールデンスランバー」公式サイト

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