「チーム・バチスタの栄光」読みました | Marc のぷーたろー日記

「チーム・バチスタの栄光」読みました

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)/海堂 尊
¥500
Amazon.co.jp

映画ドラマ にもなった海堂尊さんのデビュー作を読みました。

Wikipedia「チーム・バチスタの栄光」



サイコーに面白かったです v(^O^)v


既に映画 を観ていたので、ストーリーも犯人も分かっていましたし、映画 自体が「可もなく不可もなく」のイマイチだったこともあって、さほど期待して読んだわけではないのですが、さすが「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しただけのことだけあって、ここ最近読んだ中では最高の面白さでした (^^)

現役医師によって書かれただけあって、大学病院内の人間模様のリアルさは絶品。しかも、それをただ重苦しく描くのではなく、独特のユーモアを交えて面白可笑しく描くセンスもグッド!

とにかく主人公をはじめとする登場人物のキャラクターが「立っていて」、その面白さがサイコーなんです (^^)

それだけに映画版 の出来が残念でなりません…。またドラマ はまだ放送中ですが、原作を読んでしまうと、やっぱり…。

確かにこの物語のストーリー上の主軸は、大学病院内で起こった術中死を巡るミステリーであり、そのミステリー部分を中心に映画 化したというのは理解できなくはありません。ドラマ も基本的にはミステリーを前面に押し出している印象がありますし。

でもこの物語の真の面白さは、大学病院という閉鎖的で特殊な世界を舞台に、その世界から完全に浮いてしまった存在である主人公の田口とその相棒(?) の白鳥という 2人の個性的なキャラクターの掛け合いにあると思うんです。

確かに白鳥の「超変人」なキャラクターは、原作にある小太りで下品という見た目を除けば、映画ドラマ もかなり原作に忠実に再現しているように見えます。だいぶ格好良過ぎるけど (^^;;;

そしてその白鳥に振り回されて貧乏クジを引いてばかりの主人公・田口の位置づけも原作通りと言えば原作通り。

ところが田口のキャラクターが映画 にしろドラマ にしろ原作とは全く違うものに設定され、非常に凡庸なキャラクターになってしまっているのが「ガッカリ」なんです。

原作の田口は、「抜けているようで狡猾」「お人好しなのに根性悪」「冷めてるのに温かい」といった二面性を持ちながら、その二面性が絶妙なバランスをとっていることで、読者の共感を得やすいという、ちょっと特異なキャラクター。

そして、その田口が「超変人」である白鳥に振り回されつつも「やるべきところはやる」というところに「カタルシス」があるんです。例えば、映画 では省かれた終盤の記者会見から病院長とのやりとりまでの一連のエピソードは、読んでいて「Bravo!」と言いたくなりましたから (^o^)

ところが映画 では、若い女性に設定された上にただのノロマでヘタレなキャラクターに、そしてドラマ では、若い男性に設定されたのはともかく、ただの純粋でお人好しなキャラクター…。

2時間程度に限られた映画 という媒体、そして一般視聴者向けに分かりやすさが求められるドラマ という媒体を考えると、田口のキャラクターをシンプルにせざるを得ないのも分からないではないですが、あまりに平凡なキャラクターになりすぎているんです。

もちろん原作通りに田口を 40代前半の男性に設定すると、白鳥とともにメインの登場人物が 40代の男になってしまい、ビジュアル面で華やかさに欠けますし、また原作通りのガテン系の男に設定してしまうと、それはそれで白鳥や桐生との見た目の対比が悪い。だから、映画 では若い女性に、そしてドラマ では若くて小柄な男性に設定したという製作者側の意図はとてもわかるんですけど、せめてキャラクターくらいは原作のようなひねりのあるものにして欲しかったです。

とにかく、田口と白鳥のキャラクターに完璧に「ハマった」ので、次は田口・白鳥シリーズ第2弾「ナイチンゲールの沈黙」を読まなくちゃ (^^)v
それにしても原作を読んで疑問に思ったのは、映画 では何故原作に全くない「ソフトボール」(?) のシーンが入れられていたんだろうかということ。原作に草野球のシーンでもあるのかと思っていたので、ますます意味が分かりません (^^;;;
ところで、「ナイチンゲールの沈黙」と時系列を同じにするシリーズ第3弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」が「チーム・バチスタの栄光」 と同じスタッフ&キャストで映画化され、来年3月に公開されるそうです。

映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」公式サイト

こうなると、これも公開前に読んでおく必要があるかな…。

関連記事