「白夜行」('06) DVD-BOX 特典映像 | Marc のぷーたろー日記

「白夜行」('06) DVD-BOX 特典映像

TCエンタテインメント
白夜行 完全版 DVD-BOX

「白夜行」廃人からなかなか立ち直れないでいましたが、 DVD-BOX の特典映像を観て、ようやく「社会復帰」できました (^^)v

「白夜行」感想

メイキング映像や番宣番組でのインタビュー映像など 135分にもおよぶ、盛りだくさんの内容に満足 (^^)v

特にドラマ版「白夜行」ファン必見なのは、石丸プロデューサー、平川チーフディレクター、山田孝之くん、綾瀬はるかちゃんの 4人による対談。

「世界の中心で、愛をさけぶ」からのメンバーだけあって、気心の知れた和気藹々とした明るい雰囲気がとても微笑ましい。暗くて重い内容のドラマでしたが、撮影現場は本当に明るく楽しかったみたいです (^^)

それに何と言っても、普段インタビューではテンション低めの山田くんがかなり明るくはじけていたのが印象的。演出家のモノマネを嬉々としてやってみたかと思えば、天然ボケのはるかちゃんに突っ込んだり、石丸プロデューサーのボケに突っ込んでみたり (^^)

いかに親しい「仲間」なのかがよく分かります (^^)

この対談の中で特に僕が印象に残っているのが、「役者・山田孝之」の演技について語り合う部分。

これまでも彼の様々な演技を観ていて、役への没入度の凄まじさから、そうだろうとは思っていましたが、やはり彼は「天才」なんですね。まさに役者になるために生まれてきたような青年。

台本を何度も読み込むのではなく、最初に読んだときに受けたイメージで感情の流れを完全に把握し、細かいセリフ自体は撮影の直前に一気に覚える。それなのに本番でセリフが抜けていることは全くなく、しかも難しいシーンでもほとんど本番一発 OK。これにはプロデューサーもディレクターも感心しきり。また移動のときには、これから撮影するシーンでの役の心情に近いイメージの曲を選び、それを iPod で聴きながら気持ちを作っていくんだそうです。

石丸プロデューサーが、泣く演技は大変ではなかったかとたずねると、「役の気持ちになれば自然に涙が出る」。演じているときは本当にその人物になりきっているらしく、複雑な感情がない交ぜになって溢れ出す演技や狂気に満ちた鬼気迫る表情について、プロデューサーとディレクターがどのように考えて表現したのかとたずねても、「自分が同じ状況ならそうなる」といった感じ。その様子にプロデューサーもディレクターも驚くほど。これには僕も驚きます。精緻なキャラクター分析や計算があるわけではなく、「役になりきる」だけなんですね…。「亮司」のキャラクターは、普通では想像することすら難しい役なのに、まさに役のキャラクターが「憑依する」イメージなんでしょうか…。そうは言っても、さすがに「亮司」役は相当に疲れたそうです (^^;;;

そして、この山田くんの「役になりきる」演技にも関連しますが、「世界の中心で、愛をさけぶ」の撮影時に、石丸プロデューサーと山田くんが衝突したエピソードが紹介されました。

演出上の「戦略」として涙を流さないと設定したシーンであるにもかかわらず、ほとんど NG を出さない山田くんが何度やっても涙を流してしまったのだそうです。プロデューサーや脚本家としては、このシーンでは涙を流さず、後のシーンにまわすことで、ドラマを盛り上げる意図があったそうですが、そんな石丸プロデューサーに山田くんが、
「すいませんでした。何回も…。でも僕が朔太郎でここまでやってきたんだから…。三浦(友和)さんの顔見ても、手塚(理美)さんの顔見ても、亜紀の顔が浮かんできちゃって、涙出ちゃうんですよ。でもそれで泣かないって言われたって、僕は朔太郎だから。」
と半ばケンカ腰で言ってきたそうです(石丸プロデューサー談)。

これには石丸プロデューサーも「確かに山田くんの言ってることが正しい」と思ったそうですが、山田くんによると、実際には石丸プロデューサーは相当に怒ったらしいです (^^;;;

そんなこともあってか、次の台本からは朔太郎のト書きがほとんど全くなくなってしまい、そのあまりの極端さに山田くんも呆れたようですが、そんな「ぶつかり合い」ができ、しかもそれを公の場で包み隠さず話せるのも、石丸プロデューサーと山田くんの間に強い信頼関係があるからなんだろうなと思えるエピソードですし、山田くんの役へのなりきり度の高さを示すものでもありますね (^^)

とにかく石丸プロデューサーと山田くんって、やり取りを見てると、仲のいい兄弟みたいな感じなんです。
因みに石丸プロデューサは見た目に貫禄がありますけど、まだ若くて('74年生)、山田くん('83年生) とは 9歳差。いい具合に兄弟っぽい感じです (^o^)
他にも山田くんに関する興味深い点として、彼は感動したり、心が激しく揺さぶられると、笑ってしまうんだそうです。「白夜行」の台本も、あまりの残酷さと悲惨さに笑いながら読んでいたそうですし、麻生祐未さんや余貴美子さんの演技に感激して胸を打たれたときも「笑いながら鳥肌が立った」という表現をしていて、「なるほど、この感性があの演技に繋がるのかな」と思わせるものがありました。

また、対談の中で、「白夜行」は「世界の中心で、愛をさけぶ」がなければ作れなかったという石丸プロデューサーの発言も印象的でした。既に気心の知れた山田くんとはるかちゃんだから、これだけの汚れ役を躊躇なくやらせることができた、と。

そして同じスタッフ・キャストで 3作目をやりたいという話になって、石丸プロデューサーも山田くんもはるかちゃんも 3人揃って「コメディ」がやりたいと一致していたのが面白い (^^)

しかも山田くんは
「ホントに観ている人が観終わった後に不快になるくらい、全く意味がないものがやりたい。」
とのことです (^^)

これまでの 2作があまりに悲しいお話だったので、次は明るいものがやりたいというのはよく分かりますし、確かに僕も次は「山田孝之-綾瀬はるか」コンビによる屈託のない明るいコメディを観てみたい気がします (^^)

山田くんもはるかちゃんも、暗い陰があってはかなげな雰囲気があるから、ラブコメはどうかなぁという気もしないではないですが、山田くんは「電車男」('05) などでコミカルな演技も上手いことは証明済みですし、はるかちゃんも最近は天然ボケキャラも演じてるから、意外にこの 2人でのラブコメも面白いかも (^^)


特典映像のうち、対談以外の映像、特にメイキング映像で最も印象に残っているのはクランクアップ時のスタッフ・キャストによる集合写真。

果てしなく重く暗いドラマの中では決して見ることができなかった主演 2人の晴れやかな笑顔がそこにありました。

ドラマは所詮は架空の世界と頭では分かってはいても、「白夜行」を観た後は、山田くんとはるかちゃんの姿を見るだけで泣けてきたんですが、この笑顔を見たことで何だか救われたような気持ちになったんです。きっと、そんな「イタイ」感覚を抱いたのは僕だけではないのではないかと思いますけどね (^^)

とにかく、この特典映像は、ドラマ版「白夜行」のファンは必見だと思います (^^)v