週刊エコノミスト9/20特大号の特集、葬式と墓から
ようやくお墓の記事にたどりつきました。
お墓と葬儀は切り離せないもの、そういう意味で葬儀にかんしての記事をとりあげさせていただきました。
これからお墓の記事に入りますが、いぜん紹介した東洋経済の記事とも比較してみたいと思います。
墓地使用料・墓石合計で200~250万円が目安
高額となるお墓の購入、墓地代と墓石代に分けて、価格を見てみよう。
向山 勇(ライター)/(編集部)
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「お仏壇のはせがわ」で知られ墓石事業も手がける、長谷川東京本社の榎本哲治・霊園墓所開発部長は、「一般的には200~250万円を考えておけばいい」と話す。
はせがわ仏壇は売上も大きい会社で墓石の売上も年間40億以上あると聞く。エコノミストという雑誌でお墓の記事を企画する時に、一社をアドバイザーにしていいのだろうか?
東洋経済でも「メモリアルアートの大野屋」さんを監修にしていたが、記事の最後はなんとなく大野屋さん寄りの内容で押し切られた感が否めない。
私が記事の中で違和感などを感じる箇所について解説などしたいと思います。相手は大手なんで笑ってゆるしてください。
永代使用料の平均は1㎡あたり62万円
墓の価格は大きく分けて2つに分けられる。墓地代と墓石代だ。墓地は宅地のように土地そのものの売買ではない。
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墓地には公営霊園、民間霊園、寺院墓地の3種類ある。はせがわは1都3県に約150の紹介物件を持つ。
これじゃはせがわ仏壇のコマーシャルじゃないかと疑いたくなります、記事の情報提供の代わりに宣伝しますよ、と言ってる感じで気持ちよくないですね。
榎本氏によると1区画の面積は東京23区:0.36㎡(60cm×60cm)郊外:0.8㎡(80cm×1m)や0.81㎡(90cm×90cm)が主流。
面積は地方へいくほど大きくなり2~3㎡が中心となる。なお関西や東海圏で㎡で表示せず「聖地」とする場合もある。1聖地は0.81㎡だ。
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首都圏における永代使用料は直近で1㎡あたり約62万3千円となっている。
監修がはせがわ仏壇のせいか、墓地の価格を0.36㎡~0.8㎡を基準にしてるようだ。
都内で毎年公営墓地の抽選が行われていますが、広さは1坪くらいあったり、場所が良いので価格は高いように思えるが、実際はかなりの目玉商品なのです。
このような記事の書き方であれば「はせがわの所有する墓地が安い」と誰しもが思ってしまうのではないだろうか?
墓石の費用は全国平均166万円
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墓石に用いられる石は300種程度あり、石材店がそこから10~20種に絞ってるケースが多い。いま人気なのは中国河北省の「河北山崎」。色は濃いグレーで艶が良いとされる。都庁の外壁など公共建築物にも用いられる基準石種(中国産G623)に対して1.3~1.4倍の価格となってる。
この記述法は問題がありますね、「河北山崎」があたかも人気があるように書いていますが、はせがわ仏壇が今主流として販売してる石を上手に宣伝してるだけでしょう。
さらにG623はいちばん安い石で、建設の入札の中では石工事は最後の最後なので必然的にいちばん安い石を使用しないといけなくなるから使用してる石です。標準ではありません、一番安い石です。
地域 | 2010年 | 2010年 |
---|---|---|
北海道 | 150.8 | 165.0 |
東北 | 159.2 | 155.9 |
関東 | 168.4 | 173.9 |
1都3県 | 169.0 | 176.2 |
北陸 | 136.6 | 146.3 |
近畿 | 160.6 | 157.9 |
中国 | 150.6 | 145.9 |
四国 | 217.2 | 196.6 |
九州 | 217.2 | 210.0 |
この価格表もおおまかな判断として用いるのはいいと思います。
この表だと北陸がいちばん安くお墓を建てられるように思われるかもしれませんが、お墓に300万円以上かける人の率が一番高いのは「富山県」なのです。つぎが熊本です。
2011年の平均金額146万3千円はどこから出てきたのでしょう?
魚津や黒部は500万円級のお墓がズラっと建ち並びます。小松市だと50~80万円くらいだそうです。
隣の県なのにこれだけ違うのです。関東地方でもある地域だけ「激安合戦」になってる地域もあるんですよ。
墓石に彫刻をしたり、好きな文字や言葉を彫ったりする場合には別途5万円ほどの料金が必要だ。形やデザインが決まったら石材店に図面を起こしてもらい見積もりをしてもらう。それに納得した段階で正式な発注となる。墓の納期ははせがわの場合で50~70日程度だ。
ここでなぜ、はせがわの場合で、という記述が必要なのであろうか?はせがわ仏壇の場合、四十九日までのお墓の建立が不可能なのか?とも思ってしまいます。四十九日にまで間に合わせるからこそ石材店ではないのか?
なお、石材店の中には悪質な業者もいる。粗利が他業界よりも高い割には、届出や認可が必要なではないうえ、石の加工や墓地への設置を外注してしまえば若干の元手資金と電話一本で参入可能だからだ。このような悪質業者が建てた墓は問題が生じる。全優石認定石材店である柴田石材(東京都府中市)の柴田愼一社長は、「3年もすれば風化して石の表面が曇り変色したり模様が浮きだしてくる」と指摘する。
富山ではブローカーはあまり聞いたことは無いがおとなりの石川県にはいくつかあるようです。
田舎の消費者は地元に根ざした石材店を選ぶ傾向が強いのですが、都会に行くに連れて合理的になるせいか、価格が安いというメリットだけで石材店を選びがちなのでしょうか、都会のブローカーの話ばかり出てきますね。
確かに都会の石材関係者に話を聞くととんでもない話があってビックリします。
石を重油につけて黒い石として販売してるとか、10円玉くらいのダマに薬品を塗れば模様が消えてしまうとか、さらにその模様が数年経ったら浮き上がってくるなど、ありえない話を何度となく聞きました。
ワケあり商品を売る悪質業者には注意
「丁場」と言われる採石場で採れた石のうち墓石として使えるのは約20%.。しかし品質に目をつぶれば歩留まりは40%に跳ね上がる。このような”ワケありの石”を安く墓石に仕上げ、客に高く売りつけていたという。柴田社長によると、ここ数年、墓石販売の伸びが落ちてきてるため、悪質業者はかなり淘汰されてきたというが、墓石の劣化という形で問題が今後表面化する可能性があるとする。
騙されてしまった人は気の毒だ。こういう事態に陥らない為には「価格」ばかりに目をやらず、一度建てたら100年以上は公衆の目にさらされるという事を認識して、石材店を選んでもらいたい。
都会で良い石材店を選ぶということは、「良い民営墓地」を選ぶことだと何回も記事にしてきました。
民営墓地に指定業者が定められている以上、石材店選び=民営墓地選びになると思います。
最悪なのは悪質業者が指定業者になってる場合です。