マーケティングROI/ジェームズ・レンスコルド | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

マーケティングROI/ジェームズ・レンスコルド


著者: ジェームズ・レンスコルド, 上野正雄
タイトル: マーケティングROI

★★★☆☆
先週、執行役員他部門幹部に上半期の活動報告をした。

「××をした、の羅列で具体的な成果が分らない」
「キャンペーンは幾らの投資で幾らの儲けがあったか分らない」
と厳しい評価だった。
もちろん、「○○をして、幾ら儲けました、コスト削減しました」
と胸を張って言いたいのは山々だが、
「理科の実験とマーケティングの成果は違うんだ!」と
叫びそうになった。

どうしても数字でシンプルに説明しようとすると
「仮定の積み上げ」になってしまって、
「数字を作る」という表現が近くなる。
「A」と「B」を入れたら「C」が出来ました、
なんて言い切れない。

そのときどんなマンションを発売していたか、という「商品」や
「市況」「時期」「金利」「株価」「販売員の腕」「媒体の種類」
「広告のデザイン」「広告のコピー」等々色々な要素があり、
「A」+「B」→「C」なんて簡単に答えが出てきたら
それは限りなく嘘に近いと思う(笑)。
正直言うと自分を裏切ってそんな資料を作ることもある。たまに。
そんな時は上司のオボエも良い(笑)。

なんとなく直感では「そんな簡単なわけないじゃないか」とは思いつつ、
テーマとしてはとても面白いので実は個人的には1年半ほど
意識はしてきている。ただ明快に答えをくれた本や人は未だ居ない。

そんな期待の中、読んでみた。
やっぱりはっきりとした答えは書いてなかった。

今、このテーマの延長上で考えていることは
「マンション販売でのPOSシステムを作れないか?」ということ。
コンビにやスーパーのものよりも、より広告やSP寄りに。
「○○と言う媒体に××円投資したらX戸のマンションの売上があった、
 という結果から、どの媒体にどれだけの広告予算を配分するのが最適か?」
ということをシステムで導き出す、というもの。

この本での答えは「目安を決めて何回か繰り返して導き出すしかない」
なのだそうだ。マンション販売では費用対成約数の平均を
目安とするべきなのだろうか。

もう一つ、この本で気になったのは「顧客の生涯価値」。
マーケティングの本には良く出てくる言葉だ。
大半のお客様は人生で1回しかマンションは買わない。
『「生涯価値」なんて関係ない。常に新規顧客を追うべきだ!』
『やはり少なくても買い換えや口コミとかを意識して「生涯価値」も
 その延長で考えるべきだ』
どちらなのだろう?

少なくとも当社の今までのやり方は「焼畑的」である。
各社がCSに力を入れ始めているのに、このままでいいのか。


著者: ジェームズ・レンスコルド, 上野正雄
タイトル: マーケティングROI