「鳥の王」が本になります。 | マンタムのブログ

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この世にタダ一つしかないカタチを作ろうとしているのですが出来てしまえば異形なものになってしまうようです。 人の顔と名前が覚えられないという奇病に冒されています。一度会ったくらいでは覚えられないので名札推奨なのでございます。

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私にとって初の作品本となる「鳥の王 - Král o ptácích」が発刊されます。

2013年4月25日晶文社から発刊の予定で現在日頃からお世話になりっぱなしのステュディオ・パラボリカのミルキィ磯辺様による編集作業が始まっています。

基本的に直販が中心となる為がらくたからたからのように一般の本屋さんに並ぶ事はありません。
限定1500部のみの出版になります。

全ての本一冊一冊に私が鍛造したプレートが貼付けられることになっています。

当然全く同じプレートというものは作れないので一冊一冊が違う物になります。

一部の本屋さんやお店でのフェアを敢行する予定です。

もしウチでやっても良いという奇特なお店がありましたら是非声をかけてやって下さい。

出来る限りお伺いさせて頂きます。



この本の発売に合わせて4月10日から22日迄は1階の白い部屋での個展とそれに合わせてインスタレーションを行いやや変則的なアウトロー骨董市も同時開催。

23日から28日迄は2階奥の小部屋での作品展示となります。

作品の展示は鳥の王の関連作品と旧作 新作を合わせての展示になる予定で現在新作の製作に入っています。

個展のタイトルは「 残骸に在るべき怪物 」と致しました。

会期中大阪月眠ギャラリーでの個展「畜骸曲舞団」の音楽を担当して頂いた松本じろさんとカタストロフィーグラスバーでバーテンからライブからDJまでとなんでもやらせてしまい諸星大二郎トリビュート展の舞台た音効を担当 鳥の王の演奏者でもあるスカンクさん のギターユニットである バネセンパイのライブが14日午後7時より会場で開催。

パラボリカ・ビスでの個展  「夜 歩く犬」でやはり舞台を担当してもらい月眠ギャラリーでの個展でも舞台を担当してもらった 本原章一さんによる舞台が20日に決まっています。

今回の音効はスカンクさんが担当 CDも作ってもらう予定です。


鳥の王 の展示がメインになりますが「 残骸に在るべき怪物 」はこの話をベースにしていて今回はこの怪物もカタチにするつもりなのです。



                     怪物




私が路地に隠れていると いつものように彼が現れます。

彼は戦争で体の多くを失い機械に残った体を埋め込んで生きているので見た目はまるで大きなクレーン車かなにかの残骸のようです。

その錆びて不必要に大きな体をきしませながら 彼は私を探しているのです。

彼はいつも決まった時間にここを通り私はいつもこの時間にここにいるのです。

彼はそのことを知っているのでいつもここで私を探します。

それで私はいつも見つからないように小さくなって排水溝のなかや下水溝等に隠れているのですが今日は一旦はやり過ごしたと思って通りに出た所を彼に捕まってしまったのです。

彼だと思っていたのは調子が悪くてオイルをまき散らしながら走っている大きな廃水処理車だったのでした。

バンパーが外れかけてガタガタいう音を彼が錆びた足を引きずるようにして歩く音だと勘違いしてしまったのです。

彼の4つあるそれぞれ違った腕の一番小さな(機械油と蒸気で黒い粘土のように固まった)触手に摘まれて眼下には道路とこすれながら火花を散らす彼の足が見えています。

それからしばらく 多分 30分くらいして街の一番外れにある少し枯れた蔦が外壁にはり付いている製糸工場のあたりで彼はようやく動きを止めると私を彼の口らしきところに押し込みました。

口の中とは言っても所詮は継ぎ接ぎだらけの機械なものですから中から傷んだレンガの壁がみえて枯れた蔦に絡まるようにして死んでいる鴉の死骸まで良く見えるのです。

でも その継ぎ接ぎだらけ機械のなかから無数の小さな細く尖った刃や錐のようなものが出て来て私を解体していきます。

私は手際良く解体され体のあちこちから少しづつ切り離されて機械に飲み込まれていきました。

そうやってすっかり日が落ちた頃 私は彼の頭部に埋め込まれていて彼そのものになっていたのです。

さて これから どこへ行こうかと考えるのですが それよりこの格好が気になってしょうがありません。

どこへ行こうがなにをしようが隠れようも無いしそのうえ音はひと際うるさいのです。

これじゃ どこへ行っても気に入られないんだろうな と少しですが不安になったのです。