これまでの話






26話 会場の予感






2ndクォーター。

神奈川のメンバーチェンジに観客が気づく。

「おお!!10番! 神だ!海南の神だ!!」

「神だ!ついに出てきた!!待ってたぞーー!!」


深津と河田が話している。

「海南の神だピョン。夏の県予選得点王」

「ああ、そうだったな。3点には要注意だぞ」



山王ボールでスタート。

深津がボールを運ぶ。

インサイドの河田にパスを出した。


高頭がつぶやく。
「インサイドだ。花形、抑えられるか?」


河田の高速スピンムーブ。

「は、速い!」 花形抜かれる。

河田、フリーで楽々シュートを決める。


「おおおーーーーー!!!河田ー―!!」

「速ええええ!!センターの動きじゃねええよ!!」


花形、呆然。
「速い…。それに上手い。これが高校最強センター河田か」



観客席で赤木が腕組。
「河田…。 結局オレはアイツに勝てなかった」

魚住がつぶやく。
「あいつは鯛(タイ)だからな」

赤木が聞く。
「フッ。オレは鰈(カレイ)だったな…。花形は何なんだ?」

魚住、答える。
「知らん」


後ろに座っている池上が、首をかしげる。
「なに言ってんだ…。コイツら」



秋田、ゾーンプレス。

神奈川、プレスを突破。

「おお!神奈川は完全にプレス破りをマスターしてるぜ」



牧がボールを持っている。

仙道がスクリーン。牧が深津を抜く。

ディフェンスをスイッチし、河田が牧のマークについた。

その瞬間、牧は仙道に渡す。

「ナイスパス!!」


仙道についているのはチェンジした深津。身長差10センチ。

「ミスマッチだ!!行けー仙道!!」



仙道、ジャンプショット。



バシィ!!



後ろから河田のブロックだ。

「よーーーっし!!ナイス河田!!」


仙道、ビックリ。
「ウソぉ?」



「速攻!!」

ボールを拾った深津から、松本へ。そして沢北へ渡る。


流川と1対1。


「おお!!また沢北とルカワの対決だ!!」


沢北、強引なドライブ。

流川は必至についていく。「抜かせねえ!!」


沢北、急ストップからジャンプショット。

流川、懸命に手を伸ばしてブロックへ。


沢北はシュートを打たず、真後ろにパスを出した。


「ナイスパス!!」

そこには深津。 スリーポイント。



ザシュ!!


「おおおーーーーーー!!3点!!」

「深津だー!! 山王、追い上げてきたぞ!」

「一気に3点縮めたぞ!!」



そして、畳み掛けるようにゾーンプレス!!

「当たれーーーーーーー!!!!」



会場全体にひとつの予感が走る。


――イケイケ状態の山王。このプレスは決まるのでは?――



牧からカウンターに入った花形にパス。


そのボールを河田がはたいた。

こぼれ球は松本へ。




――――予感は当たった。




「ああああ!!!神奈川、ついにプレスにかかった!!」

「ゾーンプレス、ついに成功!!!」



松本はすかさず沢北へボールを回す。


沢北が神奈川ゴールへ突っ込む。


「ここは取らせん!!」 牧が飛んだ。


沢北、パス。 その先には深津。



「ああああーー!!!また深津だああ!!!」

「スリー、連続かああ!?」


ココには神がつく。

しかし、深津が選択したプレーもパス。

「なに?」




パスの先は松本。スリーポイントラインの外だ。

「おお!松本、スリーかああ!?」


松本、シュートを放つ。



ザシュ!!



「うわーーーーー!!!今度は松本のスリーだああ!!」

「同点!!!!!!」

「来たぞ来たぞ!!波が来たぞーーーーー!!」


ついに秋田が追いついた。


そして、さらにゾーンプレス!!!!


「よーーーーし!!!当たれ、当たれ!!!」

「潰せええええ!!深津ーー!沢北ーー!!!!」

「行け行け山王!!!」 「押せ押せ山王!!!」

「行け行け山王!!!」 「押せ押せ山王!!!」



深津、怒涛のプレス。しかし勢い余って牧の手を叩いてしまう。

「あ、当たっちゃったピョン…」

しかし、レフェリーからは死角だった。気づかれない!


「なんだと!?」 牧が一瞬慌てた。

その隙に沢北がスティール。


ボールは松本へ。

松本、誰もマークに来ないうちに、すかさずジャンプショット。


ザシュ!!


「うわあああーーーー!!!!連続得点!!!」

「山王、一気に逆転だあああ!!」

「ついにゾーンプレスが牙をむき始めたぞ!!」



ビビーーーーー!!!

『タイムアウト!!! 神奈川』






続く





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