赤い頭の男に、最初に声をかけたのは高宮だった。

「よーーう!花道ぃぃい!!」


赤い頭の男が笑った。
「おっ、もう来てたのかお前ら!」


赤い頭の男、そう、桜木花道が洋平たちの元へ向かう。



その時。


「桜木くん!!」


桜木の耳が巨大化。


「ハ…、ハ・ハ…、ハルコさん!!」


桜木は急遽方向を変え、晴子の元へ駆け寄った。
「ハルコさん、来てたんですか?」


洋平たちは、やれやれという顔。
「なんだ、あいつは。俺たちと会う約束で来たんじゃないのかよ」


晴子、笑顔で迎える。
「私達は神奈川の応援に来たの。湘北のメンバーも出てるからね。
でも、こんな所で桜木くんに会えるなんて思ってなかったわ。」

桜木、涙。
「ハルコさん、この桜木と会えたことをそんなに喜んでくれるなんて…」



「ケガはよくなったのか。桜木」


桜木振り返る。 質問をしたのは赤木だった。
「ぬ…、ゴリ。やはりこの天才の回復状況が気になると…」

赤木、ニヤリ。
「フッ、たわけが。まあ、その様子なら心配は不要のようだな。
いつから練習に復帰できるんだ。選抜には出られるのか?」

桜木、答える。
「ああ、冬までに完治するかどうかは分からんが、ボールを使った
リハビリはもうやってるんだ。間もなく復活よ。
このアイアンボディ・桜木に、あれしきのケガ、全く問題なし」



安西もひと安心の顔。
「ホッホッホ、それはよかった。桜木くん、君がいるといないじゃ大違いだ。
赤木くんの抜けた後の、インサイドの大黒柱として期待してますよ」

桜木、ニンマリ。
「やはり!? さすがはオヤジ! 見る目がある!
これからの湘北のゴール下は、この桜木が制す!!」


赤木、しかめっ面。
「ったく、あのバカは。調子に乗りおって」


安西、桜木に指令を出す。
「桜木くん、この試合は見ておいたほうがいい。
未来のキミのライバルになる人間が出るんだ」

桜木、得意げな顔。
「愛知のセンターだな。奴のことはとっくに知ってるぜ、オヤジ。
オレと同じ1年生だろ?」


赤木が驚く。
「ほう、よく知ってるな。お前が…、どういうことだ?」

桜木、答える。
「そのくらい知ってて当然。俺はバスケットマンだぜ? ゴリ」


「桜木…」


心なしか、みんなの顔が嬉しそうに。





コートでは、間もなく試合が始まろうとしている。

愛知VS沖縄。


優勝候補筆頭の登場とあって、注目度は大きい。

「おーい!頼むぞ愛知!! 俺はこの試合を見るために早起きしたんだ」

「森重ーー!今日は何点取るつもりだーー? 暴れろよーー!」

「諸星ーー!ガンバレーー!!」



彦一がビデオを回し始めた。
「いよいよや。大本命の実力、とくと見させてもらうで」


センタージャンプ。

当たり前のように森重が制した。

愛知の攻撃からスタート。キャプテンの諸星がゆっくりとボールを運ぶ。


1stクォーター、戦慄の10分がこれから始まる。



続く



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