まだまだ終わらぬ作戦会議。

高頭が首をかしげる。
「そいつはギャンブルじゃないか? 藤真よ」

牧はちょっと笑顔。
「翔陽の監督はとんでもねえことを考えるな」


「まあな」 藤真は説明を続けた。




秋田の宿舎。


秋田選抜、すなわち山王工業のメンバーがビデオを見ている。
神奈川の3回戦、大阪戦のビデオである。


堂本がつぶやく。
「この選手は……。これはちょっと普通のレベルじゃないな。
神奈川にはこんな選手もいたのか。湘北はインターハイの時に
相当厳しい予選を戦っていたんだな」

深津がうなずく。
「湘北の流川レベル、いやそれ以上かもしれませんね」

沢北は何かを考えている。
「コイツどっかで見た気がするんだよな。対戦したことあるのかな」

河田は腕組みをして画面を見ている。
「神奈川選抜12番、仙道彰か…。3回戦はトリプルダブル。
1、2回戦も流川に次ぐ得点数。アシストも多い。
確かに普通のレベルじゃないぞ、これは」



堂本が笑う。
「沢北よ。お前はどっちと戦いたいんだ? 流川とマッチアップして
夏の借りを返すか? それとも、この仙道を叩くか?」

沢北はまだ考えている。
「仙道…、もしかしたらアイツか? 東京のヤツ…」

松本が聞く。
「思い出したのか? 沢北」

沢北はしかめっ面。
「う~ん、断定はできないんですけど、東京の中学にいたような…。
その時はオレのチームが勝ったんですけどね」

深津の突っ込み。
「その最後の自慢はいらないピョン」



河田、真剣な顔。
「先発も予想できないな。この大阪戦は海南の牧が出ていない。
明日も5番(藤真)がスタメンなのか? 湘北の宮城もいる。
深津の相手が未確定だな…」

深津は真顔。
「さすがに牧が来ると思うけど…、別に誰が来てもいいピョン」



堂本、まとめる。
「どうやら神奈川の得点源は、流川と仙道のようだな。
そして、外は海南の神だ。これを海南の牧がコントロールすると…。
穴はインサイドか。海南の高砂は、赤木よりは少し落ちる感じだな。
明日、まずは河田を使っていこう。頼むぞ河田」




湘北の宿舎。


大部屋で流れていた秋田の試合が終わった。

福田が仙道に話しかける。
「沢北か。仙道、お前より上なのか? コイツは」

仙道、ニコ。
「さあどうかな。やってみないと分からないな」

花形、腕組み。
「高砂、明日はどっちがスタメンか分からないが、河田と野辺の
インサイドはかなり強力だぞ。相当しんどい試合になるな、これは」

高砂が答える。
「ああ、分かってる。『赤木と魚住がいれば』なんて
言われないようにしないとな。責任重大だぜ。」




湘北メンバーの部屋。

すでに布団で寝ている流川。


三井と宮城が部屋に戻ってくる。

「なんだコイツは、もう寝てるぞ。緊張感のない男だな」

「いつもこんな感じじゃないすか。明日に備えてってことでしょ」

「そういや、あのヘンな会議まだ終わってねえみたいだな」

「気にする必要はないでしょ。俺たちはプレーするだけだ」

「そうだな。俺たちも寝るか」



陵南メンバーの部屋。

彦一は明日の準備をしている。
「明日の第1試合は愛知。これは要チェックや。みんなのために
スカウティングする必要があるで。ワイはそのために呼ばれたんや」

仙道は外を眺めている。
「沢北か…」

福田は寝ている。



海南メンバーの部屋。

清田は興奮している。
「ついに山王との試合だ。神さん、オレ先発ですかね?
今日試合に出てないの俺と牧さんだけですよ。これは温存では」

神、お茶を飲んでいる。
「ハハ。そうなりゃいいな。オレも山王とは戦いたいよ。
去年の夏に対戦したときは出てないからな。

お茶を置いてひと言。
「ふぅ…。牧さんと監督、遅いな。まだ作戦会議が続いてるのか」




まだまだ終わらない神奈川宿舎の夜。



続く

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