神奈川、21点の差をつけて3rdクォーターを終了。

神奈川ベンチ。

高頭は上機嫌だ。
「神、三井、よくやったぞ。これで大阪は終わりだ」

そして交代を指示した。
「宮城、藤真と交代だ。仙道は長谷川に代われ。
あと、センターは高砂に代えて、花形で行く。
さあ、決着だ! 神奈川の力を見せて来い!!」


「おう!!!!!」

宮城、三井、神、長谷川、花形。
最後の10分を戦う5人がコートへ走っていった。




高頭が牧に話し掛ける。
「ついにお前が出場せずに終わったな、牧」

牧が聞く。
「でも明日はオレ、40分フルの可能性がありますよね」

高頭が答える。
「ああ、そうかもな。流川、お前もだぞ。今日はよく休んでおけ」

流川、ちょっぴり不服そう。
「別に今出ても、明日40分できるけどよ…」

清田の目が光る。
「ということは、今日出番ナシのオレも明日フル出場?」

ゴツン

牧が小突く。
「バカヤロー。調子に乗るな」


そのころ、
コートでは大阪の反撃が始まっていた。

立ち上がりから、南、土屋のシュートが高確率で決まり、
点差は13点にまで縮まる。
神奈川は大差をつけていたせいか、イマイチ集中力を欠いていた。
リズムの悪い攻撃を繰り返し、シュートが入らない。


「よーーしゃあ!いけるで大阪!!」

「この調子で逆転や!!攻めろ!攻めろ!」



イケイケの大阪。またもや南のスリー。

しかし、これは外れた。

「ああ!惜しい!!」


リバウンドは花形。花形はボールを宮城へ回した。


宮城が走る。

一気に大阪ゴール下まで突っ込んだ。
「オレが神奈川№1ガードだ!!」

電光石火のカットイン。


バシ!!


これは岸本がブロックした。
「甘いわあ!!このチビ!」


ブロックしたボールは三井の元へ。
三井はためらうことなく長距離砲を放った。


ザシュ!!


「おおーー!7番(三井)またスリーだ!」

「点差はまた16点に戻ったぞ!」

「跳ね返ったボールが、味方に渡るとは運がいい!!」


宮城がつぶやく。
「ふふふ。ブロックまで計算し尽くした、完璧なプレイ…。
やはりオレが№1ガードだ…」

三井が呆れる。
「な~に言ってやがんだ、コイツは。」


だが、この一連のプレーは、試合の流れが神奈川にあることを
決定付けたのだった。

こぼれダマが三井の前に転がってくるというのは
完全に神奈川に運が来ているという、なによりの証拠だった。




「今ので勝負あり。神奈川の勝ちだピョン。」

観客席で、山王工業の深津が観ている。

横には河田がいる。
「ああ、決まったな。あの三井、相変わらずのシュート力だ」

後ろには沢北。
「赤木と桜木がいませんね。あ、桜木はまだケガが治ってないか…」

深津が撤収を促す。
「さあ、もう帰ろう。この試合はもう動かない。
大阪にこれだけの差をつけるということは、神奈川は強いってことだピョン。
1試合、全部見たかったな…」

河田が笑う。
「第4クォーターしか見てねえもんな。海南の奴も出てねえし。
本当の神奈川は見れずじまいかよ…」


河田の言うとおりだった。
山王工業、つまり秋田のメンバーは、
この日、本当の神奈川を確認することはできなかった。

しかし、河田の言うことは半分外れている。

本当の神奈川ではない理由…、
それは、海南のメンバーが出ていないからではないからだ。


仙道彰を見ていないからだ。


海南、湘北の選手については、秋田にはある程度のデータがある。
しかし、秋田は仙道を知らない。


秋田は真の神奈川を見ぬまま会場を後にした。




さて、コートでは、試合が間もなく終わろうとしている。


「宮城行った!!今度は決めたぞ!!これで20点差!!」

「終わってみれば神奈川の圧勝だ!!」

「優勝候補同士の激突でこれだけ差がつくか!!」



土屋がつぶやく。
「強いで神奈川。完敗や…。この借りは選抜で返すで」



そして、試合終了。




神奈川 112
大阪   92




いよいよ明日は準々決勝。


相手は



秋田である。





神奈川選抜 スタッツ(※P=得点、R=リバウンド、A=アシスト)

④牧     0P   0R  0A
⑤藤真   14P  2R  7A
⑥高砂   10P  15R 2A
⑦三井   18P  0R  1A
⑧花形   4P   3R  1A
⑨長谷川  6P   4R  1A
⑩神     21P  1R  1A
⑪宮城   4P   0R  2A
⑫仙道   18P  10R 10A
⑬福田   10P  6R  0A
⑭清田   0P   0R  0A
⑮流川   17P  7R  4A



続く