3日目。

チーム数は16にまで絞り込まれ、いよいよ優勝候補同士の戦いが始まる。

神奈川の3回戦の相手は大阪。
大栄学園と豊玉のメンバーを中心に構成される好チームだ。


会場内には汚い野次が、こだましている。


「コラーー!神奈川。今度こそコテンパンにしたるからなあ」

「ボコボコにしたるぞ。タダで帰れる思うなよ!」

「南ぃ!岸本ぉ!湘北の奴らぶっ殺したれえ!」


豊玉はインターハイ1回戦で湘北に破れている。その借りを返せと
応援団が息巻いているのだ。

大阪の主将は、大栄学園の土屋。
豊玉のこの応援には、少々ウンザリしている様子。


土屋が、南に話しかける
「お前んトコ、今日はいつもに増してガラ悪いんちゃうか?」

南が答える。
「相手が相手やからな。まあ味方や思うて堪忍してくれ」




神奈川ベンチ。
湘北のメンバーも豊玉同様気合十分だ。


三井が睨みをきかせている。
「あいつら調子に乗りやがって。この間どっちが勝ったか分かってんのか?」

宮城がなだめる。
「まあまあ、三井さん。試合が始まればイヤでも黙るでしょ」



高頭が選手を集めた。
「今日はちょっと手ごわいぞ。大阪は大栄学園と豊玉を中心としたチームで
今回の優勝候補にも推されているな」

牧が続ける。
「大栄は、オーソドックスなハーフコートバスケが得意なチーム。
豊玉は、攻撃重視のラン&ガンスタイルのチーム。
異なるカラーを持った2つのチームを、4番の土屋がうまくコントロールしている。
最も注意すべきは4番だな」

さらに彦一が報告する。
「大阪の2回戦の試合をちょっとチェックしたんですが、
基本的には豊玉型の速い展開で攻めてきます。速攻がうまく行かない場合は、
土屋を中心に、ハーフコートバスケに切り替えるみたいです」

藤真が続く。
「なるほど。まずは向こうの得意な速い展開を封じなきゃな。
その後は土屋を抑えて、主導権をこっちに持ってこよう」



高頭が遮断する。
「いや、藤真。こっちも速い展開で勝負するぞ。打ち合いで勝負だ」



「!!!?」



高頭の采配に神奈川メンバーが一瞬驚く。
しかし、闘争心が上回ったか、雰囲気はすぐに変わった。


藤真が言う。 「わかりました。こっちも走りましょう」

仙道は溜息。 「ふう。しんどいことになりそうだな…」



高頭がスタメンを告げる。
「今日は先発を変えるぞ。スピードと攻撃力を重視する。
PGは藤真、SGに仙道、SF流川、PF福田、Cは高砂だ」


仙道と流川を残して、ガラリと変わった神奈川のスタメン。
どのようなゲームを見せてくれるのか。



牧が藤真に声をかけた。
「藤真、今日は高頭監督がいる。お前は純粋な選手だ。
無理に冷静さを保つ必要はないからな。思い切り自分を出していけよ」

藤真が笑う。
「分かってるさ。そのつもりだ」


彦一は仙道と福田に話しかけた。
「仙道さん、フクさん、ボッコボコにしたってください。
特に、あの岸本に力の差を見せたってください。頼みます。」


高頭が大きな声でハッパをかける。
「さあ行って来い!走り合いでもお前らは負けない!
神奈川の力を見せ付けて来い!」


「っしゃーーーーーーーーー!!!!」




神奈川VS大阪、まもなくティップオフ。