2回戦の相手は静岡。


かつて湘北と合宿を行った常誠高校をメインとするチームだ。
三井、宮城、流川は知った顔である。


試合前、静岡の主将、御子柴が三井に声をかける。
「久しぶりだな。三井」

シュート練習の手を止める三井。
「ああ。夏以来だな」

神奈川のメンバーを見回す御子柴。
「赤木はいないのか?」

答える三井。
「夏で引退したんだ。大学を受験すんだとよ。
あいつはオレと違って頭がいいからな」

残念そうな御子柴。
「そうか…。せっかくお前らと公式戦で対戦できると思ったんだが。
でも、強そうだな神奈川は。全国2位の海南に、山王を破った湘北か」

「今日はよろしく頼むぜ」 握手をして別れる2人。




●国体2回戦 神奈川VS静岡


高頭がメンバーを集める。

「今日もスタメンは昨日と同じだ。自分たちの力を出せば
確実に勝てる相手だ。思い切っていこう」


1stクォーターから猛攻を仕掛ける神奈川。

仙道、流川が次々と得点を重ねる。


「おおおお!今日もすげえぞ12番(仙道)!」

「うわあああ!!!また仙道だ!」

「今度は流川だ!!12番と15番、止まらない!」

「神奈川強い!勝負になってねええ!!」


前半だけで神奈川は48点を挙げた。
静岡の攻撃を23点に押さえ、ディフェンスも完璧。


ワンサイドゲームでハーフタイムを迎えた。



観客席の赤木。
「こうも開くとはな。合宿でウチ(湘北)とやった時は五分だったんだが。
さすがに海南、陵南、翔陽と組んだチームは違うか」

魚住が聞く。
「静岡は悪くないチームだ。神奈川がその上を行くということか」

しかめっ面の赤木。
「仙道め…。全国レベルの男だとは思っていたが、
それどころか群を抜いている。冬はウチの大きな壁になるな」

ニヤリとする魚住。
「あいつがいるから俺は安心して引退したんだ。冬は陵南がもらうぞ」

すぐに返す赤木。
「ウチには流川がいる。“全日本ジュニア”のな。冬もウチがもらう」


「ム?」 にらみ合う2人。



後半開始。

メンバーを大幅に入れ替えるも、神奈川の攻勢は止まらない。


牧に代わって後半の神奈川をコントロールするのは藤真。
徐々に支配力を発揮し、自らも得点を挙げていく。



「いいガードだな。あの5番」

「牧だけじゃないぞ。神奈川のガードは」

「全国トップレベルのガードを2枚揃えているのか。強いはずだぜ」



ベンチで宮城がウズウズしている。
「神奈川№1ガードはオレなんだよ…。早く俺を出せ」


祈りが通じたか、4thクォーターからは宮城がガードを担当。
牧、藤真とはガラリと変わり、速い展開で攻撃を仕掛ける。


「おおおお!11番速い!!」

「あいつ知ってるぞ!山王のプレスを1人で破った奴だ!」

「神奈川、層が厚い!!」



得意げな宮城。
「はっはっは!思い知ったか!これが神奈川№1ガードの実力だ!!」


ベンチで神が牧に話しかける。
「だそうですよ」

不適に笑う牧。
「フッ。威勢のいい奴だ」



最後まで神奈川は攻め続けた。

そして試合終了。


神奈川 102
静岡  66


またもや大勝。神奈川が3回戦進出を決めた。


御子柴が牧に握手を求める。
「まいったぜ。次も頑張れよ」

握手を交わす牧。
「ああ。そのつもりだ」

御子柴が問いかける。
「決勝は愛知か? 海南と名朋の決勝の再現かな」

うなずく牧。
「再現じゃない。今度はウチが勝つからな」


「期待してるよ」 ベンチに戻っていく御子柴。



この日でチーム数は、「16」にまで絞られた。

次は大阪である。



神奈川選抜 スタッツ(※P=得点、R=リバウンド、A=アシスト)

④牧     5P   4R  5A
⑤藤真   10P  1R  9A
⑥高砂   4P   10R 0A
⑦三井   7P   2R  1A
⑧花形   10P  11R 1A
⑨長谷川  5P   2R  0A
⑩神     12P  1R  1A
⑪宮城   3P   1R  2A
⑫仙道   17P  7R  6A
⑬福田   3P   4R  0A
⑭清田   2P   2R  1A
⑮流川   21P  7R  2A





続く