現在8-0で神奈川のリード。
仙道彰のスーパープレイに会場がざわめいている。

「あの12番、何者なんだ」
「もっとすげえプレー見せてくれ」
「あの子、カッコいいわ。15番の子(流川)もいいけど」

試合再開。


佐賀の攻撃は、シュートが外れて終わる。
リバウンドは流川。

牧、仙道とつないで、神へ。神から再び牧へボールが戻る。


牧のカットイン。


「行った!牧の十八番、ペネトレイトだ!!」

相手ディフェンスと接触しながらも、シュートをねじ込み、
バスケットカウント・ワンスロー。

「さあ!ついにキャプテン牧もノッてきたぞ」
「神奈川、全開だ!来たぞ来たぞ!」

フリースローもきっちり決めて11-0。完全なワンサイドゲームとなった。


佐賀の攻撃、花形のブロック!


ピーーーーーーーーーーーー!


完璧なブロックに見えたがファウルをとられた。


「あああ!惜しい!ナイスブロックだったのにぃ!」




苦笑いの牧。
「あれでファウルかよ。厳しすぎんじゃねえのか?」

ボソッとつぶやく流川。
「あれで取られるんなら、陵南の2メートルは前半で退場だな」

観客席で何かを感じる魚住。
「赤木、ルカワは性格悪そうだな」

理解できない赤木。
「魚住。突然何を…」



ここで、高頭監督が動いた。


「メンバーチェンジ、神奈川」

④牧に代わって⑤藤真。
⑫仙道に代わって⑭清田。


大喜びの清田。
「悪いねセンパイ。お先!」

憤慨の三井&宮城。
「あの1年坊主めええ。桜木を見てるような気分だぜ」


牧と藤真は軽くハイタッチを交わした。

藤真が聞く。
「どうだ、牧。神奈川選抜の手ごたえは?」

牧が答える。
「フッ。やることがないぜ。あんだけ暴れてくれればな」



そのころ、観客席は軽い騒ぎになっていた。


「おいおいおい!もう仙道引っ込めるのかよ!」

「おーい!12番を出せええ!もっと見せてくれよー!」


清田、ややギレ。
「うるせえな。仙道、仙道って…」


三井、宮城ほくそ笑む。
「なんか、今交代しない方がよかったみたいだぞ」「プププ」



試合は神奈川のワンサイドゲームで進んだ。

交代で入った藤真が、周囲を生かしたゲームメイクを行う。



流川と神が面白いように得点を挙げていく。

点差はどんどん開いていった。

「強い!神奈川!こりゃ秋田、愛知と並ぶ優勝候補だ!」

「いや!攻撃力だけなら最強かも知れねえぞ!」

「この流川がすげえ!沢北とやりあったってのは伊達じゃねえな」



1stクォーターは38-4。
神奈川の大量リードで終えた。





2ndクォーターは

PG.藤真
SG.三井
SF.清田
PF.流川
 C.高砂

で、スタート。


流川と清田が攻撃の中心となった。


清田は牧と藤真の違いを肌で感じていた。

「牧さんより、周りを使うタイプだな…。
選手兼監督だけに特徴を掴むのが早いぜ。
昔からのチームメイトみたいにパスを通してきやがる」

中盤で、藤真と宮城が交代。
流川と長谷川も代わり、スタメンがコートからいなくなった。
早くもフルメンバーチェンジである。

それでもプレーの質が落ちない神奈川のゲームに観客は酔いしれた。

「神奈川、強い!」

「海南以外のメンバーもレベルが高いぜ!」



ベンチでひとり寂しそうなのは福田であった。

「オ…、オレを使ってくれ…」


前半残り3分。ついに福田が投入される。

「うわああああ!神奈川、早くも12人全員登場だ!」
「全国大会で全員出場って、ちょっとすげえぞ!」
「13番(福田)! お前もすげえプレー見せろよ!」

「がんばれー13番!」「13番!」


震える福田。
「もっと、騒いでくれ…」


神奈川の攻勢は続いた。




前半終了。


神奈川 69
佐賀  18

圧倒的リード。勝敗は既に決していた。

会場は神奈川の強さに唖然としていた。
このチームは海南だけじゃなかった。
仙道、流川という超高校級プレーヤーがいた。
控え選手が出てもペースが落ちなかった
神奈川全体の層の厚さを知らしめた前半だった。



そして、そのころ
会場には変わった反応も出てきていた。


「なんか5番の人(藤真)カッコよくない?」

「つんつんアタマの12番(仙道)もカッコよかったし」

「私は15番の子(流川)がいいわ! ちょっとニヒルな感じで」



神奈川選抜は、初日にして、会場を味方に付けたのだった!




続く