折り返すタイミングをしっかりみつめようかな…。
分析心理学者のC・G・ユングは四十才頃を人生の折り返し地点と考え「人生の正午」と呼び「中年の危機」が起こりやすいとした中で逆説の真実を残しています。
「山に登ったことを完成させるには、その山から降りなければならない」
山に登ったことを人に語るには、真逆の降りるという行為を成し遂げなければならないというのです。
まさに、登る、と降りる、は正反対。この相対を合わせて「登った」という事実が完成すると説いています。
登り続けて、降りてこなければ、遭難したということになる。
そう考えると、なんと降りることの難しいことか。考えてみてください。登るときはてっぺんの一カ所だけを見て登れば済みますが、降りるときは360度どこへ降りても構わないわけです。
降りる場所を間違えたら大変なことになります。それにすべてが真逆。登るにはてっぺんを目指す気力、諦めない精神、登り続ける体力。しかし、降りるときは、滑落しないための安全、間違いなく降り切るための知恵、全体への広い視野……。
まず、どこへ向かって下山へのルートをとるか、そろそろ真剣に考え、そして行動に移す年齢になっていることを自覚しなければ、降りるのに間に合わないことに気がつきました。
中村信仁