届いたばかりの古書目録に目を通す。大阪のD丸デパート開催される古書市である。江戸、明治期の書画や和本、初版に限定本など薄給の身には手のでない代物ばかりだ。それでもいつも目録を送ってくれる古書店主のためにも、多少の貢献にでもなればと、目を皿にして探せども気に入る商品がみつからない。しだいに目がチカチカしてきたので、今日はあきらめて目録をそっと閉じた。そこで鞄から本日購入した『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)を取り出す。人気作家7人が『こち亀』を小説化するという恐ろしく阿呆らしい面白そうな企画なのである。京極氏が如何に荒唐無稽に料理してくれるのかを読みたくて、ついつい買ってしまったのだ。すぐに古本として登場するであろうに、それまで待てない自分を叱責しながら、にやにやと「ぬらりひょんの褌」を読み始めた。


小説こちら葛飾区亀有公園前派出所/秋本 治
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