昨今は、商業的な結婚紹介所なるものも隆盛であるが、明治二十年に記載された求婚広告をみつけたので、内容が面白いから紹介する。



求婚の女子は左の性格を要す


一 基督新教を奉ずる者

一 普通の教育を受け英學を修めし者

一 姿容優にして丈高く身體強壮にして動止活発なる者

一 馬に乗り得る者但し未だ乗りざる者と雖ども結婚後乗馬するの勇気あるもの

一 家格の高下と資産の有無とを問わず年齢十五歳以上二十五歳以上にして初婚の者


求婚の男子は左の性格を有せり


一 無財産にして負債あり但し償却の方法確定せり

一 現職は奉任五等にして上給俸を受く

一 假名現職を止むと雖ども独立生計の方あり若し能はざる時は離婚の請求を許す

一 和漢學の素あり且つ英學を修め飜訳を為し能ふ

一 身體強壮にして行為活発なれども酒と烟草は一切用ゐず

一 男女同権は固より許す所彼の東洋風待遇の如きは敢て為さざるを誓ふ

一 年齢は二十九歳三箇月にして再婚子あれども他家に養はる


(時事新報第千四百八十一號明治二十年一月十日)



*一部常用漢字に変更しています。


記者によれば、この広告によって良縁を得ることも遠くないと結んでいるが、さて、その後の反応が気になるところではある。