K堂から古書目録が届いた。久しぶりに発行される目録なので期待して開けてみると、その中身の濃さに吃驚。いきなり蒐集家には垂涎ともいえる北村透谷『楚囚之詩』(春祥堂)と夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』上中下(大倉書店、服部書店)の初版が鎮座している。ほう、『楚囚之詩』は十冊程度も発見されているのかぁ、などと解説文を読みながら大きく息を吐く。熱烈な収集家でない小生でも高揚してくる。さらに泉鏡花『高野聖』(左久良書房)、発禁された永井荷風『ふらんす物語』(博文館)、萩原朔太郎の献呈署名入『月に吠える』(感情詩社)、室生犀星『抒情小曲集』(感情詩社)、木山捷平『メクラとチンバ』(天平書院)、上林暁のカバー帯付完本『薔薇盗人』(金星堂)、竹中英太郎装丁『江川蘭子』(博文館)、渡辺啓助の識語署名付『地獄横町』(春秋社)、夢野久作『ドクラ・マグラ』(松柏館書店)、横溝正史『鬼火』(春秋社)、海野十三『深夜の市長』(春秋社)、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』(新潮社)・・・。あ、ああ、目眩がしてきた。買えない分、貴重な資料として大切に保存させていただきますよ。見ているだけでも幸せになれる目録なのであった。恐るべしK・Rコレクション。