はっきりしない天気のせいか偏頭痛気味である。そんな気分を払拭すべく、K駅に隣接する某デパートの本屋に立ち寄った。大手本屋が店子として入っているので、たまには覗くことにしているのだ。すると種村季弘『東京百話』の「天の巻」「地の巻」「人の巻」の復刊本があったのでこれを買う。隣の棚の中公文庫を隅からチェックし、そのまた隣の岩波文庫も左上から順に見ていく。すると平積みで、徳冨健次郎こと徳富蘆花の『みみずのたはこと』(岩波文庫)を見つけ、これも買うことにする。その他、気になるものはあったが、またの機会とする。レジにて定員に本を差し出すと、案の定、「カバーをお掛けしますか?」と問われる。もちろん仏頂面で「いりません」と答える。すると定員は笑顔で「おりがとうございます」といって、大きな紙袋に本を丁重に仕舞い込んでくれる。むげに「それもいりません」とはいえず、「どうも」といって紙袋を受け取る。結局、紙袋を本の形にあわせて無理に折りたたみ、そのまま鞄に詰め込んだ。いつもながら「有り難い」と「もったいない」の狭間で、ささやかな葛藤を繰り返してみるのだ。