昼前、不動産屋さんから電話がかかってくる。
“なんかお宅から水漏れしてるみたいなんですよ~。それで、1階の人の家、電気ショートしちゃったらしくてね~。これから見に行くんですけど、水、使っててなんか問題ありませんでした?”“ほえ!?”
寝耳に水である。
だって、昨日は快適にお風呂に入り、
今朝だって普通に朝ごはん作って食べてた。
でもでも、電気がショートって
かなりやばい状況じゃないすか?

小心者のオレの頭の中は、
ぐるぐるぐるぐるいろいろな可能性が駆け巡る。
昨日洗濯のあと洗濯機の蛇口締め忘れたんじゃないか(ぼろいので締め忘れると水漏れする)、もしかして水出しっ放しで出かけちゃったんじゃないか。それとも古いアパートだから老朽化が進んでどっかから水が漏れたのだろうか。

いちばん最後の可能性ならまだいい。ある意味、これは不可抗力だ。
でも私がなんかやらかしてたら?
うーどうしよう……。1階の人怒ってるかな……。
今日の夜、謝りに行ったほうがいいかな。
原因がわかる前からびびりまくるオレ。
申しわけない気もちでいっぱいだ……。

というのも、前のアパートに住んでいた時、
私も水漏れを経験しているのだ。
それはもうたいそう絶望的で不安だった。
壁や柱からポタポタポタポタとめどなく水が落ちてくる。
床はびしょびしょ。年末で大家さんはなかなかつかまらない。
パソコン大移動。夜も眠らず拭き掃除。
どうしたらいいかわからず、半ベソで親に電話してみたり。
さすがに電気ショートまではいかなかったが、
それから半年ほど、カビとの闘いも勃発した。

たいしたことなければいいんだけど……。
不動産屋さんから連絡がくるまで、どうにも落ち着かない。

結局、部屋に入って点検してもらったところ、
お風呂の床とタイルの境目の目地がはがれて
そこから水漏れしているようだ……と。

あー、そうだったんすか……。
原因がわかってほっとしたのも束の間。

修理は後日行なうので
それまでは目地部分に水がかからないよう風呂に入ってくれ、と。

……それってかなり至難の業なんじゃ?
しかも気をつけていても、もしまた水漏れしちゃったら?
そんなこと考えたら……小心者のオレは怖くてお風呂なんか入れねーよ(笑)!

こりゃあしばらく銭湯だなぁ♪
西荻の銭湯に顔出しておばちゃんに会ってこようかなぁ♪
渋谷の銭湯も久しぶりに行きたいなぁ♪
と少しテンションが上がる。
風呂なし歴が長かったオレは、銭湯大好き。
でも家に風呂があって近くに銭湯がないと
なかなか出かけなくなるものだ。いい機会かもな、と思う。
でも、なにせ突然のこと。今日はお風呂道具も何も持ってない。
仕方ないので今日だけは気をつけて入ろうと思って帰ってきた。
きたのだが。

お風呂場を見て目地を確認して
“これは……気をつけても無理っ!”
という結論に達した。
床とタイルの隙間、ぐるりと1周隙間がある……。

どうしよう、どうしよう……。
ああ、そんなこんなでもうすぐ24時。


風呂に入るべきか、入らざるべきか……。


いや、入らなきゃいけないことはわかっているのだが。

どうにも決断しかね、現在、このように
この文章を書くことに逃避している次第。