『変身』を読みました | 自転車で大陸を越えるブログ

自転車で大陸を越えるブログ

学生のとき自転車で日本縦断、オーストラリア横断。一旦は就職したものの、会社を辞めて北米縦断。次に目指すは中南米縦断。このブログを通じて自転車で海外を旅する楽しさが、なるべく多くの人々に伝わればイイなぁ…と思っています。

”ある朝、グレゴール・ザレムが不安な夢からふと覚めてみると、ベットのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。固い甲殻の背中を下にして、仰向けになっていて、ちょっとばかり頭をもたげると、まるくふくらんだ、褐色の、弓形の固い節で分け目を入れられた腹部が見えた。” 『変身』の冒頭より

僕は理系生活を長く続けていたのでブンガクの素養がまったくなく、そんな自分にちょとだけコンプレックスを感じていました。せめて日本ブンガクだけでも読んでみようと思って大学時代に三島由紀夫と太宰治の文庫本を一通り読んでみたけど、なんだかわかったような、わからないような不思議な気持ちで(もちろん面白いなって思う作品もいくつかあったのですが…)、いつも開高健さんや村上龍さん、村上春樹さんの小説に逃げ込んでいました。別に彼らの小説が安易だというわけではないのですが、どうもブンガク作品の世界には僕はすんなり入れないのが本音です。物語に入れないまま、活字だけが自分の中を通り過ぎていってしまう気がします。

で、この『変身』ですが、村上春樹さんの『海辺のカフカ』を読んで、フランツ・カフカとはどんな人なんだろうと興味をもったので、「えいやっ」と古本屋の100エンセールで買って読んでみました。率直な感想を言うと今回も「なんだか読みにく文章だなぁ…」とは思ったのですが、意外に物語の世界にはすんなり入ることができました。冒頭にあるように朝起きると毒虫になっちゃった男の人の話なんですけど、最初は家族に優しく介抱されるのですが、時がたつにつれ邪魔者扱いをされて、最後には父親が投げたりんごの傷が元で死んじゃいます。

色々な隠喩を含めた物語なんだろうけど、僕はどうしても僕の祖母と主人公を重ね合わせてしまいました。なんだか暗くなっちゃうので話をはしょりますが、絶対にこの小説のような最後にさせないようにせんといかんなぁって思ったりしました。ぜんぜんブンガクをわかっとらんかも…。なんにしても胸が痛くなるようなモヤモヤとした悲しい物語でした。

『変身』のほかに『ある戦いの描写』という短編もあったのですが、読むのが苦痛でしかなくて、なんだかよくわからんうちに終わりました。カフカファンの皆さんごめんなさい。



著者: フランツ カフカ, Franz Kafka, 中井 正文
タイトル: 変身