全件原本確認 | 成年後見日記

成年後見日記

司法書士の成年後見に関するブログです。
※あくまで個人の見解であり、所属団体とは関係ありません。

成年後見申立相談⇒ info2@ben5.jp
事務所:東京ジェイ法律事務所(東京都千代田区) 

平成29年2月17日、リーガルサポート東京支部の全件原本確認対応委員会に出席しました。

 

全件原本確認って何でしょうか?

 

全件原本確認は、リーガルサポートが会員の度重なる横領事件に対して打ち出した対策です。

 

すなわち、リーガルサポートに所属するすべての会員のすべての後見等の案件について、預貯金通帳の原本を目視で確認するというものです。

 

リーガルサポートの会員は1年に2回、LSシステムというシステムを通じて、業務報告を行うことが義務付けられています。その際、通帳のコピーをPDFにして添付することになっています。

その報告をリーガルサポートの監督委員がチェックします。

 

この報告に加えて、直接預貯金通帳の原本を確認するのが全件原本確認です。

 

この全件原本確認の目的については、リーガルサポート副理事長の矢頭範之先生は、月報司法書士のLeagal Support Newsにおいて以下のように述べられています。⇒コチラ


「横領が発覚した事件においては、家庭裁判所または当法人に対する報告に添付する預金通帳等の写しを変造する行為が複数件確認されている。
これらを防止するためには、まず、予防の観点から、必ず横領行為はいずれの日にか白日の下に明らかになるという認識を全会員に共通認識として定着させることが重要である。これにより、人知れずに行為に及んだとしても全件原本確認等によりいずれの日にか確認される日がくることを予期させ、それであれば横領に着手しようとするという異常な判断をせず、自身の状況を客観視して、常識に舞い戻れるきっかけとなることを期待している。
もう一つは、前述のとおり、早期発見の観点から、上記のように危険因子が表面的には顕在化していないが、水面下で横領行為がなされている場合において、実際に早期に発覚に至ることを期待する。」

 

すなわち、全件原本確認には、①横領の抑止、②横領の早期発見の2つ目的があるということです。

 

全件原本確認の対象事件は、後見・保佐・補助(ただし、保佐・補助は預金通帳等を管理すべき代理権が付与された事件に限る。)のうち監督人が選任されていない事件及び任意代理事件です。

 

全会員の対象事件について原本確認を行うのは本当に大変な仕事ですが、リーガルサポートの監督機能を実効あらしめ、ひいてはそれが被後見人の財産を守ることにつながるのですから、大切な仕事だと考えています。

 

ただ、こうまでしないと横領を抑止・早期発見できないというのは、成年後見制度自体の限界だろうとも思います。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

★お問い合わせ先★ 

 info2@ben5.jp
 

★過去の後見日記★

「成年後見相談室」
 http://www.tokyoj-seinenkouken.jp

★twitterアカウント★

 https://twitter.com/mami_nomura

 

★任意後見Q&A★

 http://ben5.jp/faq/faq01_16.html