平成29年2月3日に後見センターレポートNo.13が発行されています。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/kouken_report_vol13.pdf
後見センターレポートとは、東京家庭裁判所が年3回程度発行する成年後見関係事件を巡る最近の動向に関するレポートです。
今回の内容は、次の2つです。
①定期・定額預貯金に関して裁判所に提出を要する資料について
②後見制度支援信託の利用状況について
①定期・定額預貯金に関して裁判所に提出を要する資料について
これは、定期・定額預貯金について、初回報告・定期報告それぞれの場合にどういった資料を裁判所に提出するかを整理したものです。
定期・定額預貯金は、普通預金のように記帳によって金額が変更することがないので、後見人が解約して横領し、解約前の証書のコピーを裁判所に提出して横領を隠したという事件がありました。
その事件を受けて、東京家庭裁判所では従来から定期・定額預貯金について残高証明書や元利金額等明細書(内訳書)の提出を求めていました。
ただ、ゆうちょ銀行の元利金額等明細書(内訳書)は窓口で無料で発行してもらえますが、その他の銀行の残高証明書は有料です。
今回の後見センターレポートでは、残高証明書を取得しなくてよい例外について明記していますので、例外にあたる場合は残高証明書を取得して不必要な出費をしないように注意が必要ですね。
【残高証明書を取得しなくてよい場合】
★初回報告の場合★
①後見等開始申立ての際に申立人が残高証明書を提出していた場合
②その定期預金が初回報告時点において満期未到来の場合
③預け入れた店舗(金融機関の本店・支店等)における預入金額が額面100万円未満の場合
★定期報告の場合★
①1年以内にその定期預金が更新されたことが通帳から明らかである場合
②1年以内にその定期預金の利息が普通預金口座に入金されていることが通帳から明らかである場合
②後見制度支援信託の利用状況について
後見センターにおける後見制度支援信託の利用件数(信託契約締結件数)が平成28年12月末時点で約2500件に及んでいるということです。
思えば、怒涛の信託化がひと段落して、最近はあまり信託案件の依頼が裁判所から来なくなりました。
最近の信託案件は、新規の申立事件か、継続事件で相続・不動産売却等により預貯金が増えたケースが多いと感じています。
あと、監督人が付いているケースから信託に変更するケースもあります。
おそらく、以前ほどではないにせよ、これからも信託の利用件数は増えていくのではないでしょうか。
後見センターレポートは、その時々に問題になっていることがわかりますので、後見業務に携わる人にとってはチェックすることが不可欠ですね。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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