【リーガルサポート】成年後見制度利用促進基本計画の案に盛り込むべき事項に関する当法人の意見 | 成年後見日記

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平成29年2月1日付で公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートのHPに「成年後見制度利用促進基本計画の案に盛り込むべき事項に関する当法人の意見」が掲載されました。⇒コチラ

 

内閣府は現在、「成年後見制度利用促進基本計画の案」に盛り込むべき事項に関する意見募集(パブリックコメント)を行っています。コチラ

 

日弁連は意見を発表していますが、リーガルサポートは意見を発表しないのかしら…と思っていたら、すでに発表していたんですね。

先日のシンポジウムに気を取られていて見逃しておりました。

 

さて、リーガルサポートの意見を見ていきましょう。

 

私が注目したのは以下の部分です。

 

3 受任者調整(マッチング)等の支援について

「権利擁護支援の地域連携ネットワーク及び中核機関が担うべき具体的機能のうちの「成年後見制度利用促進機能」としての「受任者調整(マッチング)等の支援」の機能は、再適任者を成年後見人等候補者とすることが、その後の円滑な制度利用にとって最も重要であると考えられることから、たとえ中核機関が市町村からの委託によって運営されている場合であっても、中核機関の事務の一般的な委託とは別に、受任者調整のみに特化した組織の組成等、独立のあるいは特別な仕組みを構築することが必要であることについて、基本計画中に記載すべきである。」

 

「受任者調整」というのは、「被後見人にとってベストな後見人を選ぶ」ことが目的ですが、専門職にとっては「仕事の分配」の側面があるのは否定できません。ですから、各種専門職団体の勢力争いの場となる恐れがありますので、「受任者調整」を行う機関に中立性・公正性を要求するのは当然といえます。

 

次に私が注目したのはこちらです。

 

4 法人後見の位置付けについて

法人後見は、飽くまで地域後見における補完的な役割を担うべき存在であることを、明確にすべきである。

 

日弁連の意見書では、「法人後見の担い手の候補として,市民後見人研修修了者を母体とするNPO法人は削除すべき」としていますが、法人後見自体については特に否定的ではないようです。これに対し、リーガルサポートは、NPO法人については特にふれていませんが、法人後見のデメリットを考慮したうえで法人後見自体を補完的な役割を担うべき存在だと主張しています。

 

さらに、リーガルサポートの意見の一番の特徴がこちらです。

 

7 不正防止対策について

不正防止対策については、①既存の専門職団体を有効に活用する法制度を創設すること、②そのための財政上の措置を講ずること等を、基本計画に記載すべきである。

 

リーガルサポートは「LSシステム」というシステムにより会員の監督を行っていて、監督に一定のノウハウを有しているので、このノウハウをぜひ役立てたいということなのでしょうか。

既存の専門職団体のノウハウを結集するのが成年後見制度の利用促進にとっては必要なことだと思いますので、趣旨は間違っていないと思います。

 

以上、リーガルサポートの意見書を読んでの私の感想です。
これから続々各団体の意見が公表されていくと予想されます。
どのような意見が発表されるか、注目したいと思います。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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