卵子の老化について、ニュースなどでよく耳にします。
「卵子は老化する!」
「だから妊娠にしにくくなる!」
そう言われたら、もうおしまい! と思っていたら、「原始卵胞が育つので大丈夫!」というような話も聞きました。実際はどうなのでしょうか?
原始卵胞とは何でしょう?
年をとれば、妊娠する確率は低くなるとは思いますが、どうしてなのですか?
年齢とともに誘発剤を強くしても採卵が難しいことを実感し諦めかけていますが、諦めきれません。

 

*42歳

 

 

 

不妊治療を始めてから、卵子が老化することを知り、それまでは、月経があるうちは妊娠できると思っていたという人は少なくありません。
卵胞とは卵子の入った袋のこと。その卵胞がいっぱい入っているのが卵巣で、いわば卵胞の貯蔵庫です。生まれたときには約200万個が卵巣の中に蓄えられ、それを使い切ったら終わりです。200万個もあれば、大丈夫と思うかもしれませんが、何もしなくても数が減り、思春期(一般的には12歳~17歳)には約20万~30万個、その後も月経のあるなしに関わらず数を減らしていきます。
また、生まれたときから持っている細胞ですから老化現象も起こります。この卵子の老化は、卵子の質に現れます。卵子の質が低下すると、妊娠しにくい、流産しやすいという傾向がみられるようになり、それらは40歳を過ぎると顕著になってきます。ただ、すべての卵子がそうだと言っているのではありません。質のいい卵子が排卵される周期には、妊娠し、出産につながることもあります。その確率が低くなってしまうということです。
原始卵胞は、とても小さな細胞で成長して排卵するようになるまでには、半年近くがかかります。たくさんの原始卵胞が育ちますが、その間にも多くが消滅してしまいます。消滅せずに成長をした卵胞は、月経周期初期になるとエコー検査で十数個ほどが確認できるまでに育っています。それらが月経周期中のホルモンの影響を受けて育ちますが、途中から1つだけが成長をし、後は退縮して、体に吸収されてしまいます。そうして、1個の卵胞から卵子が排卵されてきます。この卵子はとても貴重ですから、どう卵胞を育てるかは、大変重要な問題になってきます。確実に育てるために排卵誘発剤を使いますが、年齢とともに卵巣機能も弱ってきますので、誘発剤を強くしても、量を多くしても、弱っている卵巣はなかなか反応してくれないのです。

そのため排卵誘発方法もマイルドなものにし、少なくてもきちんと卵胞を育てる方法が選択されるようになってきます。
ですから質のいい卵子に出会えれば、まだチャンスはあると思います。

あなたが諦めきれないのなら、あなたが納得できる方法で治療が進められるようにするといいですね。不妊治療を受けるどなたにとっても1回1回は貴重な治療周期です。いい卵子に巡り合えることを祈っています。


*Answer 竹内レディースクリニック 高度生殖医療センター



竹内 一浩 医師

i-wish ママになりたい 赤ちゃんに会うために

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