渇き。(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

観るときに注意のいる映画です。
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うちの娘がいなくなったので、
オレは探す~~探す~~、
その際に生じる他人様とのトラブルは知ったこっちゃねーです。




ヤメ刑事・藤島昭和は、ガードマンとして働いちょります。
浮気してる嫁と浮気相手が乗ってる車に激突し、
浮気相手をボコ殴りしたので、
退職させられたのでございます。

藤島は、後先考えずに行動する暴力的な輩。


ある日、警備してたらコンビニ強盗事件の第一発見者になっちまいました。
参考人として警察に呼ばれる藤島に、かつての後輩浅井が、
「情報あったら教えて下さいよぅ、センパ~~イ」

と声をかけてきます。


そうこうしてたら彼のもとに別れた元妻から、
「娘がいなくなったー」
と電話がかかってきちゃいました。



娘の加奈子は、美人でだれにでも優しい嬢。
藤島は「わしの嬢よぅ~~」と探し回ります。


色々調べまわってたら、加奈子の部屋から覚せい剤が発見され、
同級生のジョシーズから話を聞くことに。

不良っぽい見かけのジョシーズ・長野にたぶらかされてうちの加奈子が覚せい剤に手を出したんや!
そう思い込む藤島ですが、森下からは手酷く言い返されます。
「加奈子の本質を見誤ってるね」と。



話は代わり3年前。
「ボク」は、壮絶ないじめを受けていました。
そんな「ボク」の生きがいは加奈子。

加奈子は、以前死んでしまった緒方という少年と「ボク」を重ねていたようです。

藤島視線の「現代(いま)」と、
ボク視線の「3年前(過去)」が交錯。



藤島は、加奈子が中学時代不良とも仲良くしていたことを知り、
加奈子の抱える闇を知っていくのです。



ボクは、加奈子のおかげでいじめから開放され、
加奈子に誘われてパーティに行きます。
そこで薬をキめられ、
気がついたら拘束され、男たちに陵辱された挙句写真を撮られてしまったのでした。


長野もまた同じように、加奈子に恋い焦がれ、
スキを諦めなかったばかりに、薬と売春でボロボロにさせられてしまうのです。


加奈子は売春組織を牛耳る裏社会の大物、チョウとも深い仲でした。
ユーザーのご希望にお応えするため、
加奈子はそのカリスマ性を発揮して、集めます。
贄となる子羊たちを。

しかし、余りにもフリーダムな加奈子は、
門外に出してはならぬ、情事の写真をばらまいてしまい、
チョウの配下であるヤクザ組織やヒットマンからも狙われていたのでした。


オトンビックリ。

その上チョウは、警察組織の中にヒットマン愛川を抱えており、
彼はチョウの命令で殺人を犯していたらそれにハマっちゃって、
「自分で殺したいです」
と、チョウも殺しちゃいながら、抜け抜けとマイホームパパを続けようとしてたのです。


藤島と壮絶なバトルを繰り広げ、
瀕死の愛川は、浅井に「はい、確保~~」とされ、
口封じ(浅井も暴力団とつながっている)のため射殺されます。

被疑者自殺ENDに持ち込む浅井。


加奈子の軌跡をたどるうちに、
藤島は加奈子の担任教師だった東に接近します。


あれほど複数の組織が血眼になって探していた加奈子は、
東によって殺されていたのでした。


加奈子は東の娘(多分まだ小学生かそこら)にまで魔手を伸ばし、
売春組織に組み込んでいたのです。
そのことをなんの罪悪感もなく話す加奈子にカッとなった東が加奈子を殺害。
遺体を山中に埋めます。


雪の積もる山で、加奈子の遺体を求めて穴を掘り続ける東。
「どうせ見つからない」
しかし藤島は、
加奈子をきっと見つけて、
自分の手で殺す(=自分を赦して欲しい、そして加奈子を赦したい)と、
言い放つのでした。

      おしまい



この映画、時系列があっちこっちに飛ぶので、
熊にプラカード持たせて「レキシ」とかやってほしいと思っちゃったぜよ(一部のみにわかるネタ)。

地上波では放送出来ない。
基地外とか、
クソがぁとか、
そんなセリフてんこ盛り。


映像も暴力的だし、
傷めつけるのに、生皮剥いで内蔵剥き出させてそこを甚振ったり、
ボクの陵辱シーンとか、
痛々しいったら…。


出て来る人物がみんな「異常者」揃いで。
主人公の藤島は、酒癖の悪い暴力オヤジ。
おまけに下半身も、お行儀の悪いこと!!

後輩の浅井は、飄々としていながらも腹黒さん。
愛川はクレージーパパ。嫁も容赦なくぶっ殺します。

不良グループもおかしい奴らだし、
ファミレスに来る加奈子の中学の同級生たちも、
みんなDQN。

藤島の嫁は、あまりにも娘に無関心でコワイし、
東も異常なら、
加奈子に至っては、
サイコさんにしか思えない。


そんな異常者オンパレードな物語ですので、
いくらR-15でも、
高校生くらいにこれをみせるのは躊躇しちゃう。


悪の教典なんかとは違う意味で、
人間のおぞましさが、これでもかと描かれてるのですよ。

藤島は、加奈子捜索の途中で何度も嵐のような暴力にさらされます。
それでも諦めずに加奈子を追うのは、
父性から?

いいえ。
多分、加奈子は藤島に穢されていたのです。

狂った家庭に咲く、壮絶な美しさとカリスマ性を持った一輪の花。
それが加奈子。
藤島とその妻の異常性を抱え、
美しく清楚な皮を被り、
大人社会のルールすらあっさり破る加奈子。


加奈子は何に復讐したかったんでしょう。
大人に?
緒方を殺してしまった者達に?
母親に?
そして、父親に?



加奈子には復讐するという明確な意識はなかったのかも知れません。
周囲の人間たちが、
加奈子に引きずられ吸い寄せられ破滅する。

耳元でささやく、愛してるが、
これほど恐ろしい呪文になろうとはねー。

汚くてむさいおっさん、役所広司も良かったですが、
ロトブキの演技も良かったなぁ。




原作は未読なんですが、映画とはちょっと違ってるみたいですね。
早速図書館に予約せねば…。
予約かよ!

ポチくれや、クソがぁ!って藤島なら言います。
     ↓

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