凶悪(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

本当の悪人は、誰かな?
凶悪 [DVD]/山田孝之,ピエール瀧,リリー・フランキー
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「実は、後3件隠された事件があります」
死刑囚の告白に、記者が翻弄される。





暴力団員の須藤。
彼は、欄干から人を落として喜んだり、
女性を彼氏の前で弄んだ挙句火を付けて焼き殺したり、
裏切ったやろ?と銃で撃ち殺したり、

死刑判決を受けるのも当然な男です。

この須藤が、
「他にも隠れた事件があるが、そこには『先生』という通称の不動産ブローカーが絡んでいるんでさぁ!」
と言い出し、雑誌記者の藤井は、須藤に話を聞きに行くことに。


話を聞いた藤井は、
深く興味を惹かれ、上司からゴーサインが出なかったにも関わらず勝手に調査に乗り出します。

「先生」と須藤の周辺で、老人が行方不明になったり、自殺したり事故死したりする事実があったことが発覚。
藤井は仕事も家庭も放ったらかしで、
どんどん事件にのめり込んでいくのでした。




先生の事業所をこっそり覗き見したら、
先生が人を殺してたー!っていう、現在から過去への橋渡しのシーンは、
なんとなくあざとい感じはしましたが、
すんなり視点を藤井から須藤に変えるのにはこれでよかったのかなーって思っちゃいました。


「先生」(本名木村)は、強面まんまヤクザ顔の須藤と違い、
穏やかそうに見える中に狂気を秘めた人。

先生が殺しちゃった人は、
須藤が上手く始末しました。

「先生」から日野という若い衆を託された須藤。
元からの舎弟で、須藤に絶対の信頼を寄せている五十嵐とともに、
電気屋の借金漬けおやじを抹殺することにします。


この親父、膨大な借金があるため、家族から「死んでくれへんかな」と思われてて、
先生に家族がお願いしてるんですね。保険金が入ったら借金返済できるし…。
家族、コワイヨー。
その爺さんを、酒責めにして、スタンガンまで使って、
それを嬉々としてやる先生も、コワイヨー。



他にも膨大な土地を持った爺さんが消えてしまったり。
この土地の名義とか権利とか、先生が上手く処理して手中に。
爺さんは、先生の持ってる土地に埋めた模様。


五十嵐に比べ須藤に心酔してるわけでもないし、
おまけにヘタレな日野は、ついていけなくなったことと、役立たずは氏ね的な発言からトンズラ。


須藤はムショ仲間だった下っ端ヤクザの佐々木が、
あんなにかわいがってやってたのに嘘をついていたことから怒り狂い、
佐々木を殺害。
これが映画の冒頭で起こる欄干落下事件の顛末。


そして逃走していた日野を見つけ出し、日野の彼女さんを陵辱し薬を打ちまくって死亡させ、
日野が命乞いしてるのにガソリンを撒いてファイヤー。


警察に追われることになり、疑心暗鬼にかられた須藤は五十嵐すら信じられなくなり、
五十嵐も射殺。

そしてとうとう逮捕されるのです。


先生のような人間がのうのうと生きているのは許せない…義憤の人藤井は、
強硬な取材攻勢をかけ、
警察さんのご厄介になったりもします。

しかし藤井。
実は家には、痴呆症の母親がいて、その介護は全部妻に任せっきりだったのです。
妻はいい加減この生活にうんざりしてますが、
藤井は現実から逃げてばかり。


藤井の記事がきっかけになり、
保険金目当てでじいさんの殺害を依頼した家族や先生は逮捕されます。


裁判で、須藤が本音をポロリ。
「ホントは、上申したのは、この事件がきっかけで死刑の執行が伸びることも計算してたの。
(*ノω・*)テヘ」

藤井は上手く踊らされていたのか。


先生は、面会に来た藤井に、
「自分を死刑にしたいのは、須藤でも被害者でもなく、オメーだ!」
と言い切り、
藤井は、オラ一体どうしたらいいんだべ?な状況で、
去っていく先生を、ただ見送るしか出来ませんでした。

            おしまい



ピエール瀧さん、怖いー。
眼が怖い、((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


あまちゃんの現場でも、
「あ、勝手なアドリブは入れないで…」
ギヌロ!
「アドリブ、入れまくってください」

そんな感じだったのではなかろうか?と思うほど怖いですよ。


リリー・フランキーさんも、
飄々としていながらも狂気を垣間見せる「先生」を上手く演じてました。





でもほんとうに怖いのは、真実を知りたいという欲求に抗えず、
すべてを犠牲にしても取材に走る藤井じゃないのかなぁ。


原作があって、実際にモデルに成った記者の方もいらっしゃるので、
本当のところがどうなのかは分かりませんが、
記者なんて言う仕事をしていれば、家庭内のことに構ってられへんやろうな…と想像はつきます。


痴呆の母の面倒を見るのは嫁。
嫁が母親に殴られてるのに、
見て見ぬふりの藤井。


オメーってやつは…!

「施設に入れましょう」
「それはちょっと…」
しばくど、おどりゃぁぁぁぁぁぁ!


嫁に「後は判子押すだけ」の離婚届を渡されてようやく行動を起こす藤井。
お母さんを殴ったことがある…と打ち明ける嫁。


粗暴な男須藤。
老人は効率の良い金儲けの道具だと思ってる先生。
借金返済のため老人を見捨てる家族。

凶悪なのは…だれ?


自分ちのトラブルも解決できない男が、
世間の悪事をペンの力でどうこうしようだなんて、おこがましいっての!


対照的な立場にありながら、
老人を厄介に思ってるのは皆同じというね。


犯罪ものというよりも、
家庭の奥底に沈殿している問題を、
ちょっとだけほじくり返すような作品だなぁと思っちゃった。


多分アテクシは女で、
嫁の立場でみたら、
藤井が一番身近にいる怖い人だよ。
何で逆ギレしとんじゃ、おんどりゃー!


これ、男性が観るのと、女性(おばちゃん年齢の嫁の立場)が観るのとでは、
視点が変わってくるんじゃないかなぁ。

男の人や、介護とかあんま視野にない人は、
須藤の強かさや先生の不気味さに、うひゃ~と感じいるのでしょう。


でもアテクシは、
須藤も先生も怖いし、
こんな奴にターゲットにされたら嫌やなぁ…と思うと同時に、
嫁がもう精神的に我慢の限界にいるのに、
知らん顔してる藤井のアカンタレさにイライラしましたよ。


重松清さんの「ファミレス」で、
妻の美代子が持ってる、お守りの離婚届と、
こっちの離婚届では、その重みも全く違うし。

何より全部記入してあって、判子だけ押してくれ!ってとこに、
嫁の本気を感じた!


非常に面白い映画です。
邦画も頑張ったら出来るやないの!

アイドル&リメイクの学芸会で大ゴケするなら、
こういうのもっと作ればいいのに。
好き嫌いは分かれそう。
遺体解体焼却シーンもあるしね。


そういうのが大丈夫ならぜひご覧ください。
chi chi放り出し場面があるので、お子様と一緒の鑑賞は、
ちょっとやめといて。

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