小さいおうち(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

大筋では合ってるけどなんか違うねん。
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東京の裕福な家庭に女中として入ったタキの、
あんな事やこんなこと。




おばあちゃんのタキが、回顧録を書いてます。
読者は孫。

タキの思い出す昭和(戦前)は、
ハイカラの風が吹く、戦争前とはあまり思えない長閑なものでした。


東京のおもちゃ会社の重役を務める、平井家の女中としてやってきたタキ。
赤い屋根瓦が目立つそのハイカラな家の奥様、時子は美しく聡明で、
タキはすっかりシンパになります。





時子と平井の間には、一人息子の恭一がいますが、
恭一は、小さいころ小児麻痺に罹り、
タキが献身的な看病を続け、小学生になる頃には、
歩けるようになっていました。


そんな平井家に、他の部下とともに板倉が訪れます。

好きな音楽を聴くために、何度も平井家を訪れるうちに、
時子と平井は、秘めた愛情を育んでいくようになりました。


戦争が庶民の暮らしの中にも入り込んできます。
でも、時子もタキも、
まだ切羽詰まってはいません。


若い人が戦争に取られていく中、
病弱で目が悪いということで兵役を逃れた板倉に、
お見合いの話が持ちあがります。


お見合いを渋る板倉を、説得するように夫から言われた時子。
お見合いを口実に板倉のアパートに行きますが、
帰宅した時の帯の結びが逆になっていることから、
タキは、板倉と時子の間に、
「帯を解くようなこと」があったのだと悟ります。



兵役を逃れていた板倉にも召集令状が届き、
時子は板倉のもとに行こうとしますが、
タキが制止します。


誰に見られているかわからないので、
手紙を書いて、板倉にこの家に来てもらえばいいのでは?
とタキが提案。


しかし板倉は、小さい赤い屋根の家を訪れることはなく、
時子と板倉はそれっきりに。


戦争が激しくなり、タキも解雇され田舎に戻ります。
あの家の周辺に空襲があり、
一家の消息も知れなくなりました…。



タキが亡くなった後、孫は、
彼女の遺品の中から、
時子奥様が板倉に当てて書いた手紙を見つけます。

タキは、板倉に手紙を渡していなかったのでした。


タキも時子も板倉も、
その心の中に秘密を抱えたまま、
亡くなっていったのです…。

     おしまい



原作が秀逸だったのですが、
映画になったら「あれ?」な部分が目につく…。


時子奥様が前の旦那と別れて、
平井の嫁になり(恭一坊ちゃんは連れ子)ますが、
二人の間に、夫婦の関係はないような感じで原作は書かれていました。

平井に問題があるような。


時子は、結婚は結婚と割り切れる女性だったのに、
板倉に出会い、よろめいてしまった…、
そこがさらっと描かれすぎ。


また、女学生の時から人気があった時子に対し、
女性雑誌編集者の睦子は、エスな愛情をいだいてますが、
映画版では、そこまで描ききれてないかなぁ。


赤い屋根の小さいおうちも、
昔、吉屋信子の少女小説にある挿絵で見たような、
どことなくバタ臭いハイカラな家を想像してたら、
そういう部屋もあるけど、やっぱり和風で。


このへんが、
男の監督さんでは、オトメゴコロはわかんないのね…と思ったり。


女性はいつでも、オトメでハイカラなものが好きなのです。
例えばレェスのカァテンひとつとっても、
もっとロマンティックなものをオトメは望むのです。
あんな合理的なインテリアじゃ、駄目なの!!

女中部屋は和室でも、
お客様が目を通す所は、
これでもかとハイカラにしたいのが女心なんですよ。


なのに食器棚は妙に今っぽい(安くさい感じ)。


小物から本筋まで、
中島京子さんの描く世界とは、
似て非なるもの…そういうイメージでした。



タキは、非常に頭のいい人という設定なのに、
どうもそれが伝わってこない。
孫達に「頭がいい」と言わせてるだけでは、
タキの頭の良さ(それは女中として気働きがすっと出来るとか、そう言うのも含めて)が伝わってこないのですよ。
どうも指示待ち女中にしか見えなくて。


孫が「戦争してるのに、そんなチャラついてるわけないやん!」(だいたいこんな意味合い)というのも、
映画と原作では微妙にニュアンスが違う。
多分これは、アテクシが中島京子さんの「女中譚」を読了済みだったから余計そう感じるのかも…ですが。


女性作家の原作を、
男性が料理すると、
男性目線が入るから、
女心の機微が、汲み取れてないよ…と思っちゃう。



まぁ、映画としては、それなりに纏まってるし、
決して悪い出来ではないので、
いわゆる庶民が悲惨になる戦争モノとは違う視点の、
戦時中の話として観るのが良いかと。

でも不倫相手が吉岡くんて…!

あんな気の弱そうな人に、
斯様にだいそれた事、
出来るんかネ?

やっぱり感想は事前にイメージしてたのとは違うのねん…でした。ポチ
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