偽りなき者(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

振り向かないなら、ちょっと話盛ったる!…がえらいことに!!
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幼稚園で働いてるルーカス。
園児のクララが、女心から、口走ったことが原因で、
在らぬ疑いをかけられ難儀する。




離婚して今は一人暮らしのルーカス。
同居人は、わんこのファニー。

ヤモメ暮らしながらも、仕事もなんとか食っていけるだけは稼げるし、
ここは息子のマルクスを嫁のところから引き取って一緒に暮らしたい!なんて考えてるですよ。

友人のテオとその妻アグネス。
その息子トルステン、そしてクララ。

クララは優しくしてくれる(多分この嬢ちゃん、みんなとあんまり打ち解けていないのかも)ルーカスが大好き。
ハートのアクセサリーを贈り、どさくさ紛れにチュウしちゃったり。

しかしルーカスは「そんなことしたらアカンよ」と窘めます。

失恋クララは、ショックから、
「ルーカス嫌い、変なことするから」
と園長グレテに嘘を申告。


グレテは「ルーカスのジョニーが暴走!!」と思い込み、
勝手にカウンセリングを召喚。


カウンセリングのおっさんは、勝手に話を誘導し作り上げちゃいました。
この時のクララの子役ちゃんの演技がたまらん!!

グレテは、アグネスに「クララが…クララが勃たせた」とチクっちゃうよ。←下品っ!

このグレテってBBAが、同じBBAとして、
「お前もうちょっと世間ずれしろよ」
と言いたくなるくらいで…。
そりゃ、オッサンが幼女相手に不埒な行為をした!と知ってしもたら、
Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーンとなるのはわかるけどさ~。


そんなわけで冤罪を受けちゃったルーカス。
「児童性愛者」の嫌疑をかけられ、
それはそれはひどい目に合います。


理解してくれる息子のマルクス(この子がまた健気で…)に、支えられ、
親しい数人の人たちも無実を信じてくれてますが、
テオやアグネス、町の人は「いやーね、変態よ、不潔!」って、きちゃないものを見る目でルーカスを見てます。


クララも「何か、嘘言うたらまじにやばい状況になってるんす」とアグネスに打ち明けるのに、
「人は辛いことは忘れようとするものなのよぅ」と完全に被害者思考。



マルクスまでがいじめられ、
ルーカスは彼女に「変態なん?」と疑われ、
買い物に行ったら売ってもらえないし店には来るな言われるし、挙句に暴力を振るわれ(観てて辛い)、
完全に変態犯罪者扱い。村八分。



児童虐待に警察も介入してきますが、
とりあえず証拠不十分で釈放されるルーカス。


良かったねーと父と息子で喜んでたら、
家の中に石を投げ入れられ、
可愛がっていたファニーは殺されてビニール袋に入れられてたじゃないよ!!

わんこは関係ないじゃろうが!!
怒りに震えるマルクスの気持ち、わかる!


クリスマスの日、ルーカスは教会でテオに、
「オレの眼を見ろなんにも言うな~~」
と詰め寄ります。

テオは、あいつがあそこまで言うなんて…まさか本当に…冤罪?
と揺れる心。なんせふたりは竹馬の友でしたから。



その夜、クララがつぶやいた、
「そんなつもりもなかったのに気が付いたら大変なことになってた」
の言葉で、テオは食事を持ってルーカスのところに行くのでした。

和解。


そして翌年。
猟銃を持つことを許可されたマルクスのパーティの席。
何となくあの事件は水に流して元通りの人間関係になったように、ルーカスは人々に受け入れられてます。


クララを抱き上げるルーカスに、
もう誰も「異常者を見る眼」を向けてはいないようです。


鹿狩りに行くルーカスとマルクス。
そして町の狩猟会のメンバーたち。


森にひとり佇み物思いに耽るルーカス。
そこに一発の銃声が!
弾は既のところでルーカスを外れますが、
彼は銃をこちらに向ける「誰か」(逆光なので誰かはわからない)の殺意を感じます。
犯人は、それ以上銃撃をすることもなく立ち去って行きました。


終わったかのように見えても、
彼を疎ましく、異常者と思う人は確かにそこにいて、
安穏な日々はもう帰ってこないのです。二度と。


      おしまい




ルーカス役のマッツ・ミケルセン。
ちょっとインテリっぽくてイケメンでメガネでおじさまという、
ストライクゾーンどまんなか、バッチコイやんかと思ったら、
やっぱり人気あるらしい。そやろな!!


女心がわからないルーカス。
クララの幼い恋心を袖にしたことからかぶる謂れのない冤罪。

クララも決して陥れたろう!なんて思ってたわけじゃないのに、
周りの大人が、
「幼女を手篭めにするジョニーを持ったオッサン」
みたいな典型的な児童性愛者をルーカスに押し付けたのがね…。


デンマークって、かつて「合法的な、児童性愛者の会」があったんですよ。
そう言う経歴があるから余計児童に対して邪な感情を持つ人には厳しいのかもしれませんが。
児童性愛者―ペドファイル/ヤコブ ビリング
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幼い女の子を持つ親なら、
「怪しい奴は危険視してしまう」
のは仕方ないんです。

アグネスの気持ちもわかる。

でも、この映画を観てるこちらとしては、ルーカスが何にもしてないのを知ってますよね。
ルーカスだけじゃなく、マルクスやファニーまで巻き込まれるのは違うんちゃうんか!と思っちゃうんです。


すごく辛いです。

ルーカスが表面的に許され、受け入れられたことになっても、
(多分テオが「実は…」と皆に打ち明けたんじゃないかと…)
マルクスのパーティに、アグネスが来てなかったという事実が、
アグネスは今でも許してないのね…と想像できて、辛いですよ。



ルーカスは、これからもやってもいない罪の十字架を背負って生きていかなきゃならないし、
町の人も「ルーカスを無実の罪(かもしれないことで)断罪した」十字架を背負わなきゃいけないし、
クララも「不用意な一言で憧れの人の人生をぶち壊した」十字架を背負わなくちゃならない。


なのに、勝手に話を作り上げたカウンセラーも、園長も、
何のお咎めもない上に途中からフェードアウトしていったのが許せへんと、マダム思うの。



ルーカスを狙撃したのが誰なのかも、
ファニーを殺したのが誰なのかも、
石を投げ入れたのが誰なのかも、
わからないのが怖いです。


やっぱり人間が一番怖い。
救いは、マルクスが父親大好きで信じてくれること。
ええ息子や…ナケル。
°・(ノД`)・°

とにかく子役たちの絶妙の演技力に感嘆です!ポチ
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