少年(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

おめーは、それでも親かっ!!怒り爆発!
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僕のお父さんは傷痍軍人です。
働くことが出来ません。
だから、お母さんが当たり屋をしていましたが、
お母さんが妊娠したので、
僕がその「仕事」をすることになりました…。

座敷で芸者遊びしてるオヤジに怒りの乱入カッパマダムの巻!

主人公は10歳の少年。
父親は、戦争で肩と腕をやられて働けない(本人・談)。
父親と主人公の少年、そして父の後妻である母と小さな弟は、
定住地も持たず旅から旅へのまたたび人生。

働かない=金が入ってこない。
どうするか、当たり屋でしょ?
そんなわけで、お母さんが当たりや稼業をこなしてなんとか凌いでいました。

当たり屋…と言うのは、車の前にとびだしてわざと事故ったふりをし、
法外な賠償金をふっかけて示談に持込み金をせしめるという悪辣な商売のこと。

昨日喰うたしいたけに当たったー!!だの、
三日前の牛乳に当たったー!だのとは違うレベルです。(そういうものを食うな、マダムよ)


最初は、母親がやっていたのですが、いつの間にか少年がその「仕事」をこなすことになっていきます。
同じ街で何度も「仕事」はこなせないので、
生まれた高知からあてど無い旅に出る一家。
当然小学校にも行ってません。

たまに気まぐれに与えられる母の優しさだけを縁に…。
そして慕ってくる弟に対する想いから、少年は次から次へと「仕事」をこなしていくのです。


たまにそんな生活が嫌になって逃げ出したりもしますが、結局舞い戻ってしまう少年…。
彼には家族以外、誰も居ないのです。
友人も知人も…。
イマドキの、「片時も誰ともつながらない時間があると恐怖感すら感じる」なんて甘っちょろい孤独ではありません。


仕事を重ねながら北へ北へと逃避行する一家。
いい加減定住したい母は、お金が欲しいがために連日のように少年に「仕事」をさせます。
しかしそれは、犯行がバレる危険も孕んでいる…。

父親は、一家が揃っていてはバレるから…という理由から別々のホテルに泊まることを提案。
少年たちは炬燵も壊れかけのおんぼろ民宿に泊まり、
父親は(当時としては)豪勢なホテルに泊まる。

もう、このへんでアテクシの怒りピーク。
スピークラーク!←怒りのあまりトンチンカン


大阪の文化住宅に定住した一家ですが、あちこちで犯した「仕事」から足がつき、
家族は逮捕。
少年が刑事に連れられ、親から引き離されるところでおしまい。


救いがないにも程がある…。
「戦場のメリークリスマス」、大島渚監督の社会派作品。
実際にあった「当たり屋事件」がモデルになっていますが、
アテクシ、今でもある、
「自分の子供を犯罪に巻き込む親」が許せないんですの。



当たり屋なんて、打ちどころ悪かったら死にますよ?
偽の痣を作るために、皮下注射する父親。
「仕事」をこなしていくうちに、
「痛いふりをすることも、嘘の傷を作ることもなくなりました」
と淡々と語る少年…。
。゚(゚´Д`゚)゚。泣けるわ…。


今、格差社会だの、非正規社員だの言ってますけど、
この時代は、格差なんてあって当たり前。
非正規だろうがなんだろうが、働けるだけまし。
そんな時代だったのです。

「三丁目の夕日」」や「トトロ」を観て、
「この時代はまだ人情があって良かったのよねー」なんてふざけたことを本気で言ってる人がいたとしたら、
お前の目は節穴か?と問いたいほどです。



少年が一人家族から離れるときに駅員さんは、
「家出か?」
と聞きながらもスルーです。
人情もへったくれもありません。
子供がいなくなった!と探してくれる優しい人は、この作品の中にはいません。

少年も、可愛く健気な子ではなく「生きていくための図太さや狡猾さ」も持ち合わせています。
それでも、親は何やっとんじゃ!!という気になるのですよ。



お金が入ったらパーッと使ってしまう父親。
目先のことしか考えてない父親。
何かというと「自分はかわいそうな傷痍軍人じゃー」と逆ギレする父親。
働けへんねんやったら、お前が車に飛び込め!
ムカつくわー。


小山明子さんが、綺麗です。
スーツにメガネだと知的なご婦人に。
イケてないファッションだと擦れっ枯らしの女に見えるからすごいなぁ。

雪の中、子供(一人は幼児ですよ)を座らせてのロケ。
CGちゃいますで!

当時は、みんな根性持って撮影に挑んでたんだなぁと頭が下がります。

もし機会がありましたら是非。
ただ、観ていて心がほんわかするとかそういうのは全く無いです。
少年の夢想であるアンドロメダ星人も、
切なくなってくる…。

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