この世を去りました。
離れた場所にいたおじいちゃんに会えるのは毎年の夏休み。
車、飛行機、電車を乗り継いでやっと着くおじいちゃんのお家。
ピンポーン。
ドアの外にいる私は久しぶりに会う緊張でいっぱいだったな。
でもドアが開いた後、おじいちゃんの笑顔と「どうもどうも」の声が聞こえるとすぐに緊張は消えて、ワクワクでいっぱいだった。
私が小学校に入った後の夏休み。
机の引き出しから英語の絵本を取り出してきて 読んでみよう!と言ったおじいちゃん。
おじいちゃんは英語が出来たんだった。
教わりながら読む英語。
上手だね~
ゆうちゃんはセンスがあるよ
と褒められてとっても嬉しかった。
それから英会話教室に通い始めたことを知ると、たまに届いていたFAXが全部英語で書かれるようになった。
パパに聞いたり調べたりしながら、読み解いていったおじいちゃんの英語。
勉強 ではなく、なんて書いてるのか知りたい!って思って夢中だった。
楽しかった。
今思えば、英語に興味を持ったきっかけをくれたのはおじいちゃんだったんだ。
英文科に進んで、留学をした後、成田空港に遅くについた私は船橋のおじいちゃんのお家に泊まった。
ゆうちゃんはさーもう英語はペラペラかい?
カナダの人はあれかい 優しかったかい?
いろんな質問をされたけど
答えが終わる前に次の話になってたっけ。
たくさんの時間を過ごせたわけじゃないけれど、だからこそ会う時間が特別だったおじいちゃんとの思い出。
あっても話をたくさんするわけじゃなかったけどね。
ただ悔むのは、さくらをあわせられなかったこと。
あおいが産まれて見せに行ったときはずっと嬉しそうにしていたおじいちゃん。
またあの嬉しそうな顔が見たかったな。
ごめんね、おじいちゃん。
お手紙のたびに、見せに行くねと約束していたのに先延ばし先延ばしにしちゃって。
一生懸命頑張るから
遠くから見守っていてね。
ありがとう、おじいちゃん。