ヨウ素131とセシウム137だけを考慮する場合、ヨウ素換算値=ヨウ素131の放射能(Bq)+セシウム137の放射能(Bq)×40 がヨウ素換算値となり、セシウム137に対しては40倍して足すということが次の資料から分かります。
http://
他の代表的な放射性物質の場合については、次の資料のp16の
TABLE 2. RADIOLOGICAL EQUIVALENCE TO 131I FOR RELEASES TO THE ATMOSPHERE
.にまとめられ、その算出方法はp.154からの
Appendix I CALCULATION OF RADIOLOGICAL EQUIVALENCE
にあります。
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/INES-2009_web.pdf
算出方法については、英文では次のように説明されています。
For airborne releases of activity, the following two components were added:
—Effective dose to adult members of the public, Dinh, from inhalation of unit airborne concentration, with a breathing rate of 3.3 × 10–4 m3s–1; and
—Effective dose to adults from ground deposition of radionuclides, integrated over 50 years, including consideration of resuspension, weathering and ground roughness . Ground deposition is related to airborne concentration using deposition velocities (Vg) of 10–2 ms–1 for elemental iodine and 1.5 × 10–3 ms–1 for other materials. The integrated dose over 50 years, from unit ground deposition of each radionuclide is used (Dgnd (Sv per Bqm–2)).
1m3に1Bqの割合で空中に浮遊する放射物質を吸入した場合の内部被曝の1秒あたりの実効線量と、それらがその後地上に沈着した場合(再浮遊も考慮)の外部被曝の50年分の実効線量を足したものが、ヨウ素131についてのその値の何倍になるのかで、その放射能(Bq)にかける値をきめるようです。セシウム137の場合にはそれの値が40ということです。
p,157の
TABLE 15. ATMOSPHERIC RELEASE: DOSE FROM GROUND
DEPOSITION AND INHALATION
によると、
ヨウ素131については前者が2.44E-12Svm3/sBq、後者が2.70E-12Svm3/sBqで、合計5.14E-12Svm3/sBqです。一方、セシウム137については前者が1.29E-11Svm3/sBq、後者が1.95E-10Svm3/sBqで、合計2.08E-10Svm3/sBqです。これらの合計を割り算して(2.08E-10Svm3/sBq)÷(5.14E-12Svm3/sBq)≒40.5となります。同様の計算をセシウム134でやると、(1.43E-11Svm3/sBq))÷(5.14E-12Svm3/sBq)≒2.78という感じです。
ここで、放射性物質が空中に浮遊している時間は短期間なので、それによる外部被曝は考慮しないようです。
あと注意するとことは、1秒あたりの吸入量は成人の値として3.3E–4m3/sとしているので、日本人の平均と比べると大きい値を採用しているようです。また、沈着速度は、ヨウ素については1cm/sとし他の放射性物質については0.15cm/sとしているので、ヨウ素は他の放射性物質より土壌に沈着しやすいと考えているようです。
このように、ヨウ素換算値は大気に放出された放射性物質に関するものなので、今回のように海水に大量の放射性物質を垂れ流したような事故については、この値で事故のレベルを判断するのは不適当ではないでしょうか。