除草剤を使わないキャンプ場 | マキオカのネイチャーな日々

マキオカのネイチャーな日々

山梨県の牧丘に手作りの2区画だけのキャンプ場を作りました。

広い空には満天の星。
ティピィの煙突からはバーベキューのけむりと笑い声。
ハイジのブランコは空まで届きそう。

いるだけで気持ちが和んでいく。そんな不思議なキャンプ場から贈ります。

こんにちは。今日も楽しいマキオカです。

ここのところ草木の成長が著しい。
ちょっと放っておくと、恐ろしい程の勢いで辺りを覆い尽くそうとする。
植物のチカラは本当に凄まじい。

マキオカネイチャークラブは除草剤を一切使っていない。
きっかけは井戸を掘ったこと。

せっかく井戸水を土地の神様からお分けして頂いているんだから、除草剤なんかを使っては申し訳ない。
キャンプ場はお子さんもたくさん来るし、テントで寝たりして土との距離が大変近い場所。
除草剤を使うぐらいなら、お客様には多少草が生えていても目をつぶって頂こう。
そう考えて除草剤を使わないことにしたのだった。

たぶん都会の皆さんは「それがどうした」と仰るに違いない。
が、実はこれ、ものすごく大変なことだった。

わたしはマキオカで腱鞘炎になるほど草むしりをしている。
毎回6時間ぐらい。

マキオカに住んでいるんなら毎日分散してできるんだろうけど、わたしはお客様がいらした時だけ鎌倉からマキオカに向かう。
ほぼ毎週行っているのだが、大急ぎで草むしりを含めたメンテナンスをするのは、本当に大変。
わたしもやってみて「こ、これほど大変だったとは。」と、泣きべそをかきつつ天を仰ぐこともしばしば。

うちのような2区画しかない小さいキャンプ場でさえこんなに大変なんだから、普通のキャンプ場はほとんど除草剤を使っているんだろうなぁ、と実感する。
だっていくら頑張っても小さな草が後から後から生えてきて、まったく草のない状態になんかできないのだから。

そんな話を近隣の農家の方にすると、皆さん不思議そうな顔で「そんなの無理に決まってるずら。馬鹿なことよせし。除草剤を使えし。」と、こともなげに仰り、半ばあきれ顔をされる。

そう、もはや除草剤は農家の人たちにとっては生活の一部であり、それなしではあの手入れの行き届いた庭や駐車場は成り立たなくなっている。

「除草剤はよくない」と言うのは簡単だけど、超高齢化の進んだ過疎の村では、頭でっかちの都会の人間のようなキレイ事を言っている場合ではないのだ。
周りの方々を見ていて心の底からそう思う。

鼻息荒く「除草剤は使わない!」と言っているわたしだって「除草剤を使えば細かい雑草も全く生えなくなるから草むしりもそんなにする必要がないし、砂利のところもすっかりキレイになるよ。」と言われると、グラッとくる。

ましてや若い働き手のいない家で、畑を守るために普段から極限まで頑張っているお年寄り達には、除草剤を使う以外選択肢はないのではなかろうか。

除草剤の安全性について、肯定派と否定派では言っていることが全く違う。

肯定派は『枯葉剤というのは除草剤のうちの一つではありますが、一般的にホームセンターなどで購入して庭の雑草駆除などに使用するものというのは、ベトナム戦争で使われたようなものとは含まれている成分なども全く異なっています。
一般的に販売されている除草剤というのは非常に毒性が低く、子供やペットがいる家庭で使用しても全く問題ないとされています。』なんて言ってる。

それに対し否定派
『生命ある植物を枯らし、しかも人体にまで影響が出るほどの薬剤であることは、濃度の濃さなどは違うのかもしれませんが、枯葉剤も農薬も除草剤もほぼ同じです。
(中略)
除草剤ほど怖いものはありません。
根強い雑草を根こそぎ枯らしてしまうという除草剤の正体は、忌まわしいベトナムの枯葉剤やオームのサリン事件で用いられた化学物質の仲間が除草剤にも含まれているといわれています。』
『ベトナム戦争での枯葉剤の製造メーカーでもあったモンサント社が開発し、最も安全な除草剤として数十年に亘り世界の市場で販売されてきたグリフォサートアンモニウム塩を主成分とする除草剤「ラウンドアップ」
(中略)
グリフォサート除草剤、「ラウンドアップ」は散布後、直ちに生物分解されて無害物質に変化するとメーカーは宣伝してきました。
実は、それは真っ赤な嘘であり、アメリカでもヨーロッパでも、提訴された法廷で、虚偽宣伝として有罪判決を受けました。』

わたし達は今、魔法の世界に住んでいる。
空も飛べるし、遠くにいる人の様子を知ることもできる。
あっという間に温かい食べ物を作ることもできるし、難しい病気を治すこともできる。
そして直接手を下さずして、たくさんの生き物を瞬時に殺すことも。

その魔法の一つが除草剤だ。
「ここに草が生えなくなったらいいな。」と思うところに魔法をかけると、あーら不思議、草一本生えなくなる。

だけど、あの生命力あふれる植物たちが全く生えなくなるなんて、いったいどんだけ強力な魔法なんだ。

わたしはそれが恐ろしい。
植物は根こそぎ殺してしまうけど、動物や子どもには一切害がないなんて、わたしは信じない。

どんなに偉い学者先生が口を酸っぱくして「大丈夫だ」と言っても、わたしの生き物としての本能が「コイツは危険!」と叫ぶ。

わたし達がキャンプ場を始めたのは「自分が来たいと思えるキャンプ場を作ろう」と考えたのがきっかけだった。
わたしは自分が行くキャンプ場には除草剤を撒いて欲しくない。

だからわたしは今日も老体に鞭打ち、草むしりをする。

つづく