今月の『壬生 』は、
お部屋に入ったとたん、
真っ暗でした~。
なぜならば、
今月は、
お部屋に「蛍」がいたからです。
女将さんに手を引かれながら、
真っ暗闇の中を進んでいくと、
わお、
ほんとです、
いましたいました、蛍です。
私の顔やら足にも飛んできました。
この蛍は、
「ヤマボウシ 」にくっついてました。
お料理がはじまるので、
お部屋が明るくなりましたが、
同時に、
蛍ともおさらばです。
蛍様、また来年逢いましょう。
では、
お料理に移ります。
「無病息災」のお題がついた1品目は、
何やら神がかったものが出てきましたが、
これは、『茅の輪潜り(ちのわくぐり)』といって、
夏越の祓に、
多くの神社で行われるようですが、
氏子が茅草で作られた輪の中()を、
左まわり、右まわり、左まわりと八の字に三回通って、
穢れを祓うものだそうです。
輪っかに左手と右手を交互に入れて、
その都度、
自分の体を触り、
無病息災を願いますが、
その模様は、
このお姫様のブログ からどうぞです。
輪っかのくぐり儀式が終わった後、
「梅がのった熱々お寿司」を頂きましたが、
手に持って頂きます。
これを「掌」と言います。
両手で器を持つのは、
日本ならではの食べ方ですね。
炊き立ての日本米が酢飯になり、
その上に、
甘めに炊かれた小梅と蓮根が添えてありました。
梅は、
世界最高級と言われる「曽我」の梅干しが使われてましたが、
元々は、
一切甘みと添加物の入らないしょっぱい梅です。
それをいったん塩抜きして、
蜜煮になったものです。
傷すらありません。
「日本人は、梅干しを食べるから、元気なんだよ」って、
何度も何度も繰り返しおっしゃってました。
おっしゃるとおりですね。
というわけで、
これからも、
せっせと毎日食べ続けます。
1品目から、
身も心も清められ、
罪や穢れも祓われました。
「走り雨」ということで、
お椀の上に、
走り雨に見立てたほそーい飴がのせてありました。
この飴を、
焼かれた「天然鮎」の上にのせます。
暫くすると、
飴がとけて、
雨になりました。
鮎の苦味を噛みしめると、
水面に見立てられた「夏大根」と、
「夏カブ」が出てきました。
この繊細な包丁ワザ、
清々しい心持ちになります。
一気にカラダが熱ったところで、
「夏鯵」「鱧」「鰈」です。
「とにかく鯵は、夏鯵が絶品だから、夏は鯵を食べるんだよ」
と女将さん。
またしても、
掌ということで、
手で持って頂きましたが、
さっきまでポカポカだった体が、
急激に冷めました。
うまいことできてますね。
茄子と蛤の天ぷらですが、
信じられないことに、
油が入りやすい茄子の中身には、
一切油がしみ込んでなかったんです…。
これは、
周りの一番薄ーい皮だけを残して揚げてあるからとのこと。
初登場のお兄ちゃまが、
その秘密である茄子の皮剥きを実践してくださいました。
こんなんです。
薄皮がくっついてるのは、
よーーーーく見ないと分からなかったのですが、
それにしても、
こんなことができるって…。
恐れ入りました。
感心しながらも、
熱過ぎて、
口中ヤケドとなりました。
甘酢味になった浜防風は、
全身の毒素を流してくれます。
あ、
女将さんがごぼうの中身を取り、
「まりちゃん(女将さんには、なぜか「まり」です)、見通しごぼうだから、中から覗いてごらんなさい」と。
きれいにくり抜かれたごぼうの中を覗きこみ、
「ますます見通しが良くなりますように…。」との願いを込めて、
食べきりました。
大きな漆の器から、
ぷっくりした「魳の漬け焼き」が其々に配られましたが、
ちまちま食べないで、
3口で食べなさいとのことでしたので、
その通り、
3口で頂きました。
食べるのが早い私は、
普通でもその位で食べ終えてますが、
やはり食べものは、
食べ方でもおいしさが変わってきますよね。
お魚の後は、
口の中をさっぱりさせるため、
果物が供されますが、
今月は、
「大薬王樹」と呼ばれる枇杷は、
民間療薬として親しまれてます。
その後、
女将さんが抱えてらっしゃった「王様の器」の中には、
「氷菓子」が入ってました。
氷と言っても、
冷たい氷ではなく、
氷に見立てた「百合根の蒸しパン」です。
三角の形は、
暑気を払う氷を表しているとも言われてますから、
うち でも、
6月は、
三角形をした無病息災を願う「水無月豆腐(園山バージョン)」を
ご提供させて頂いてます。
さて、
「百合根蒸しパン」と一緒に、
「薄茶」を合わせて、
今月も学び多き『壬生』時間が終わりましたが、
光を放つ蛍みたいに、
8月11日、東北に花火があがります。
帰り際、
女将さんから、
「まりちゃん、おうちに咲く庭花でもいいから、お花を持ってくんだよ。
インターネットは見れないけど、日本中の人にもちゃーんと伝えてね」と。
というわけで、
皆様、
お花を優しく握りしめ、
花火を眺めましょう。
夜空とココロに、
きらきら光る星花火が咲きますように…。