旅感  ~広義のシズル(2) | CM大往生

旅感  ~広義のシズル(2)

OZマガジンの最新号が母娘旅行。写真がいいです。お寺さんにて精進料理とか。


タレントものの弊害か、さかのぼるほどJALのCMはひとり旅に見えるものが多い
のですが、複数旅もあるにはあります。思いつくものをあげると…

・母娘旅行では、 JALのI’ll(アイル)のグラフィックが木村佳乃ともう一方で(海外)。
・ふたり旅がJAA(JALの台湾路線)、昔 志村けんと金城たけし、今オセロ。
   台湾観光局のグラフィックもいいものが多くて、台湾って画に成るのだなあと。
   ホウ・シャオシェンが撮ったお茶のCM(井上陽水出演)もしっとりしたいい画でした。 
・三人以上旅では矢田亜希子の出ていたJALバースデー割り。
  
ANAは「ハンバーガー計画」やらなんやら痛いのが多かったのが、JALが凋落する
に連れて腰が据わっていった感じ。しかし腰が据わっていない頃、グラフィックはよか
ったんです。アラーキー×本上まなみの「九州日和」や 同じく本上まなみの「別ヨ」や。

JAL・ANA・JRなど運輸関連のCMをがっつり見た経験のある私ですが、「旅感」と
云う点での最高峰は 仲間由紀恵さんの au「それぞれの夏・北海道」篇(2003年)。

をんなの子ふたり旅。バッグまで「旅」しています。

例えば同じ北海道でもJAL北海道などは抽象的だったんですよね。鶴田真由が草原に
寝転がって「空が広い」みたいな。 (いい歳した大人は、旅先で寝っ転がりませんからね)

JCBみたいに散財したり、宮崎あおいちゃんのオリンパスみたいに沖縄にいって写真とっ
たり、上記の仲間さんのや、それらと違い、現実的な「旅している感じ」がJALやANAから
は感じられません。(一番ひどいのはSMAPが出ていたANAでしょう)

では何故JALは現実感のない抽象的なCMを作り続けたのか? 下世話な感じを嫌い、
「格安チケットで旅行に行きそうな奴を相手にせず」ってことかいな。(元・官営企業ですか
らね。おまけに法人営業が強かった。) 消費者インサイト広告とならずに、タレントを消費
者に半端に見立てた企業広告の域を出られなかった印象を受けざるを得ず。
(ANAの場合は奇をてらうがゆゑ)

~~~ ついでに…~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

相武ちゃん出演のバイト探し「an」 バイト仲間3人で旅行に行き 布団に並んで入っている
カットも旅感がありますねえ。 (うつ伏す姿勢+布団のふんわり感 が 旅感か?)


同じようなのでNTTドコモポケットボード(20世紀末)。
ntt

同じようでありながら、「乙女」ぽい相武ちゃんのと違い ドコモのは OL三人と云うことで、
「世慣れ」した感じを見せています。(ディレクターは岡田隆さん)

これを「だらしがない」にまで崩すと広告としてマズいわけで、「世慣れ」で留められるあたり
が岡田さんの演出の技量なのでしょう。

[広義のシズルについては 「シズルあれこれ 」(2006/07/04) でも書いて居ります]
[狭義のと云うか本来の意味のシズルとは、食品を じゅわー・たらー・どろー・ぴょろーetc
と旨そうに見せることです]

~~~その他どうでもいいことをあれこれ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

○ 代理店CR 「majomajoくん 今回の 演出は 誰がいいと思う?」
      majomajo氏 「角川春樹でやりませんか?」
      いくらなんでも薄笑いで流されるな。しかし一回やってみたい。  
      沢尻エリカ×角川春樹。 ロマンがあるよねえ、CMって。
○ 岡本太郎×アラーキー の 「Taro愛」 古本で4000円以上していたのが2000円
      以下まで下がってきたので購入。しかし案外な出来だった…。
○  「ちょっと情報量が多いような。アリコみたいな見え方しませんかね」と脅し文句。
      広告主は引き下がります。アリコ様々です。
○ 気になった装丁。浅生ハルミン氏によるイラスト。

嵐山光三郎
人妻魂