【耳ふさいでて】

(85)【ももクロ&ラッツの黒くぬれ!】

音楽番組でラッツ&スターと共演したももいろクローバーZの「顔の黒塗り」写真がインターネット上で波紋を呼んでいる。

ラッツ&スターは前身のシャネルズ時代から「黒塗りメーク」をトレードマークにしていたドゥーワップコーラスのグループ。ブラックミュージックへのリスペクトを「黒塗りの顔」に象徴させてた。

今回、ニューヨーク・タイムズの田淵広子記者がこの画像にツイートで「日本人は識字率や教育水準も高いのに人種やジェンダーに対する態度となるとズレてしまうのはなぜなのか」と疑問を呈し、海外のツイッターユーザーがこれに反応。反響となった。彼等は怒り心頭だ。
■「《故意でない人種差別》は大きな問題だ」
■「アフリカ人に対する差別の歴史を学んでほしい」
■「彼らは黒塗りが私たちにどのように映るか気づいているのか」(黒人ユーザー)

ももクロにしてみれば、キッス(米ロックバンド)のメークで《白塗り》をやって、今度はラッツ&スターで《黒塗り》…という連続ネタに過ぎず、しかも、今の今、ラッツ&スターを蒸し返してみることの"ズレ"をお楽しみください、いつものように…という、自分の路線に誠実なだけだったのだと思う。

もちろん、この"ズレ"は田淵記者が指摘したのとは意味が違う。国際的に感覚が"ズレてる"と嘆かれてんだ。
ももクロは海外展開も視野にあるのだろうから、今後は人種問題をシビアに意識せよ。そして、覚えておいてね。KISSメークの《白塗り》は白人差別にならないが《黒塗り》はアウトですからね。

実はシャネルズ時代に《顔の黒塗り》問題は一度議論されてんのね。70年代。それが「敬意か差別か」についてを。僕は記憶力と執念深さに定評があるから覚えてんだ。新聞の投書だったか何かでこんな批判があったことを僕は覚えている。※ほら、執念深いだろ。
「顔を洗えば黒い色が落ちるシャネルズとは違って、肌の黒さを洗い落とせない人達の気持ちがわからないのでしょうか」
これに対し、シャネルズサイド(またはレコード会社か音楽番組サイド)は「黒人への尊敬の象徴で…」という論旨の反論をしていたはずだ。

批判者の論旨が「黒人が肌の黒を洗い落としたがっていること」を大前提にしていることが凄いと思う。黒人の肌の黒さを"悪"とするのであるならば、シャネルズの《顔の黒塗り》は重罪だ。おっしゃるとおりだ。
で、当時の議論がどのような決着になったのか僕は知らないけど、さしあたり、シャネルズはラッツ&スターに改名してからも黒塗りを継続したことで《黒塗り》は容認されたものだと僕は思い込んでいた。
「差別意識」よりも「文化的な敬意」が尊重され容認されたのだ、と。

それが"なし崩しの容認"であろうとも、その後「日本人の黒人化」が進行した。シャネルズをお手本にしたのかどうなのか、ともかく「黒人化する日本人」はその後増えた。

黒人のリズム感や歌唱力に憧れて「黒人になりてー!」と思った人達がこぞってR&Bを歌い、日本の音楽市場には《肌の黒くない黒人模倣シンガー》が溢れた。こいつらは「アフリカ人に対する差別の歴史も知らぬ無知な輩」だと言える(海外ツイッターユーザーに言わせれば)。
或いは黒人の体型やファッションセンスに憧れてスタイルを取り入れた人達が90年代ぐらいから増えたでしょ。僕は"和製黒人"って呼んでたんだけど、HIPHOPスタイル(髪型やファッション、アクセサリー、歩き方や口調など)を取り入れた"黒人もどき"のヤツラは、もちろん《故意でない人種差別》に無自覚なバカどもだ。
おっと、ガングロとヤマンバを忘れちゃいねーか。アイツラは無意識だったくせに、もっともシャネルズに近いところで黒人化してたぞ。アレは黒人たちにはどのように映っていたのか…。

…ったく、それが差別だと何故わからんかねぇ、日本人は。島国根性ってやつですか? 国際意識が希薄ちゅうか。文化も薄っぺらちゅうか。尊敬のつもりで真似したとか、好きだからかっこいいから模倣したという無邪気な意識がどれだけ他者を苦しめていると言うのか…。気づけよ、日本人。

結局、日本人は差別問題に無自覚で無神経なのね。自分達が差別されてもヘラヘラしてる僕達ですから。ピンと来んのです。
最近の朝ドラは必ず第二次世界大戦の描写があるのだけれども(『マッサン』も今週から第二次大戦に突入だ)、日本人が「世界の敵」として嫌われた時代のことを自ら喜んで扱っているのだから、やはり、日本人は人種としての見られ方に関して無自覚なのな。海外から見たら「チョンマゲの日本人を描く時代劇」って自虐的な人種差別の自己演出ではないのか。

馬鹿だな、日本人。

そー言えば、僕達は日本人のことを不当に差別表現した新聞社を襲撃したりはしないもんなぁ。いかんなぁ。もっと差別のことに自覚的にならんとな。

ここはいっちょ黒人差別表現を取り締まりますかぁ。

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ねぇ、ちょっと耳ふさいでて。
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はい、みっけ!

『カルピス食品のシンボルマーク』や『タカラのダッコちゃんマーク』はアウトでしょ。肌が黒くて唇厚くて。絵本『ちびくろサンボ』なんか、絵も名前もアウト。トラのいる未開地に住んでいるサンボ少年という設定も全然ダメ。漫画・アニメの『ジャングル大帝』『ジャングル黒べえ』は腰ミノつけてるし。そー言えば、『オバケのQ太郎』って色白だけど唇厚くね? 志村喬もラゴン(怪獣)も…。(ここまで僕の好きなものばかりだ…)
久保田利伸はもちろん、宮迫博之の顔とかもアウトだろ。別の意味でEXILEとか三代目J SOULナンチャラも。彼等は存在として黒人を思わせるから。それから、日焼けサロンなどもっての外。黒人をバカにすんじゃねー。日サロを追放しろー…っていうかツブれてるけど。

ま、こんな感じで、かつて『黒人差別をなくす会』の少年(当時小学4先生)が《世間の黒人表現》に抗議しまくったのね。大人に褒められるとガキは調子にのるから。
そんでカルピスやタカラのマークを廃止させ、いくつもの書籍を絶版に追い込んだ。
おかげで漫画やアニメの世界から黒人が姿を消した。少年の望むとおりに。まるで邪魔者が一掃されるように黒人が消え去り、おかげさまで日本は住みやすくなったのです。
黒人が消えてよかったですか?>あん時の少年

黒人表現一掃後に"黒人を知らずに育った子供"って、「黒い人間」が怖く見えるんじゃねーのかなー。そんな子供が大人になったらきっと差別するな、黒人を。僕の時は黒人大好きだったがな。カルピスやダッコちゃんを見てたから。

まぁ、そんな感傷も、日本人のバカで無知な"ズレ"なんですね。そうですね。
とりあえず、表現は自粛した方がいい。いつもの顛末だ。

そう言えば、久々のラッツ&スター関連のネタで当然のように自粛されていた田代まさしだが。もう永遠に自粛されてしまうのかなぁ。

仕方ないよな、田代は完全に「クロ」だからね。

…って、なにウマイこと言ってんだか。