フランスアンティーク アブサンスプーン | メゾン・ヴィヴィエンヌ  | フランスアンティーク&ブロカント雑貨のお店

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19~20世紀半ばの
エレガントで上質なフランスアンティーク
&シャビーで味わい深いブロカント雑貨のお店
「メゾン・ヴィヴィエンヌ」店主による
フランスアンティークや
フランスについてのつれづれ語りです。

こんばんは!


昨日は何年ぶりかでお友達ともつ鍋&焼酎を嗜み、二日酔い気味のメゾン・ヴィヴィエンヌ店主です。



度数の高いお酒はちょっと苦手なのですよね。美味しいのですが、頭が痛くなってしまうので・・・


なので、これからご紹介するスプーンはアブサンを飲むためのものなのですが、実は飲んだことがないのです。けれども根が酒好きなものですから、ついつい(使わないのに)惹かれて買付てしまいました。





フランスほかヨーロッパ各地で1800年代~1915年にかけて約100年のあいだ熱狂的に流行った薬草系のリキュール「アブサン」(Absinthe)。

1798年にフランス国境に近いスイスのヌーシャテル州で産声をあげました。もとは地元のアンリオお婆さんが作った薬草酒のレシピを、のちのPernod社の創立者たちが買い上げて企業化したのが始まりだそうですよ。





1805年にアンリ=ルイ・ペルノはフランスのポンタリエPernod Fils社を設立しましたが、そこから25年ほどはスイスやフランスのフランシュ・コンテ地方での消費にとどまっていたのだそうです。


爆発的に売れるきっかけとなったのは、1830年のアルジェリア侵略戦争。

出征した兵士たちが現地に持ち込み、赤痢マラリアから身を守るために腐敗した水の中に垂らして飲んでいたそうで、帰国後もカフェで愛飲していたところブルジョワたちの興味を惹いたのだとか…





ニガヨモギほか様々な薬草を乾燥させ、粉砕し、アルコールに漬けて発酵させ蒸留したもので、実際消化・血液の循環・解熱・消毒などに効果があるそうです。

ただし摂取量が過ぎるとツヨンという成分の作用でけいれんを起こし癲癇(てんかん)になることもあり、またアルコール中毒者も多数出たこともあって、フランスでは1915年にアブサン禁止令が出ました。





アブサンはその色から「緑の妖精」と比喩され、多くの芸術家たちを惹きつけました。

アブサン愛飲者として知られるフランスの有名人はヴェルレーヌ、アルチュール・ランボー、ゴッホ、ミュッセ、マネ、ドガ、ロートレック、ピカソ などですが、その中に「中毒者」となり身を滅ぼした人もいますね・・・叫び

ゴッホが暮らしたオーヴェール・シュル・オワーズに、アブサン美術館があるそうですよ!オーヴェールには行ったことがありますが、ミュゼは見逃していました・・・)

http://www.musee-absinthe.com/lemusee.htm





ドガ「アブサン」1876年、オルセー美術館



その後の長い禁止期間を経て、1981年にようやくWHOがツヨンの残存許容量が一定以下のものであれば可としたため、アブサンは復活することになりました。スイスでは2005年まで禁止だったそうですが。


なお、この間にアブサンの代用品として作られたのが「パスティス」です。パスティスなら私もフランス人宅に招かれた時などに飲んだことがあります。(とてもポピュラーな食前酒なので、よく出てきます)


ちなみにパスティスも色々な会社が製造していますが、有名なのはアブサンを最初に製造した会社であるペルノ社がその名を冠した「PERNOD」です。これなら飲んだことがある方もいらっしゃるのでは。



前置きが長くてすみません。


この「アブサン」を飲むためのスプーンがこちらです。




グラスにアブサンを注ぎ、スプーンをグラスの上に渡し、角砂糖を1~3個(お好みで)乗せ、上から1滴ずつ冷水を垂らして砂糖を溶かしながら希釈(3~5倍)し最後にアブサンスプーンでひと混ぜ、というのがフランス式飲み方。




カフェではこのような「フォンテーヌ」で少しずつ冷水を注ぐのだとか。エレガントな装置ですよね・・・

なお、火を灯す飲み方は1990年代にチェコスロバキアのディスコで発明されたそうで、本来の飲み方ではないそうですよ。(繊細なハーブの香りを損ねてしまうため)



ベルジェ社が約100年前に作ったアブサンスプーンがこちら (商品ページ)


よろしかったらお立ち寄りくださいませ。


本日も19世紀フランスへのトリップにお付き合いくださりありがとうございました。


ごきげんよう♪



フランスアンティーク&ブロカント雑貨メゾン・ヴィヴィエンヌ     びびあんでした。  

       




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