「100年に1度のチャンスを掴め!」 藤巻健史 PHPビジネス新書
昨年来の金融危機の到来で相場予測を外しまくった藤巻氏による最新刊です。
藤巻氏はモルガン銀行の東京支店長だった頃には「伝説のディーラー」と呼ばれたお方です。
藤巻氏が数年前に推奨していたポートフォリオは、「長期固定金利でお金を借りるだけ借りて、株と不動産と外貨建て商品を買う。株は日本株と米国株が半々」、というものです。このポートフォリオを実践した投資家は、昨年の金融危機で多くの資産を失っただろう、と懸念していました。
藤巻氏は、どうだったのでしょうか?
藤巻氏は、昨年の10月6日に日本株の全部、そして米国株の半分を売って、日本株では多少の損失を出したものの、米国株では簿価より高いところで売り抜け難を逃れたようです。藤巻氏は10月下旬に再び日米株を買い戻して、もとのポートフォリオに戻しつつあります。
藤巻氏は基本的に現在の金融恐慌について楽観的なスタンスをとっています。それは、藤巻氏の以下のような主張に現れています。
「「サブプライム・ローン問題」とは、「金融資本主義の終わり」でも「悪魔が金儲け主義で劣悪商品を売りつけた結果」でも「デリバティブの問題」でも「米国経済の終わり」でもありません。金融商品の「ミスプライシング」から起きた技術的問題にすぎないと思うのです。」
藤巻氏は、安すぎる株価はいずれ戻り、高すぎる円はいずれ安くなり、中長期的には資産インフレ(株や土地の上昇)が来る(政府としてインフレ政策をとらざるを得なくなる)と考えています。このため現金を持つ(キャッシュイズキング)ポジションではなく、借金をしてでも株などに投資するポジションを持つことがインフレ対策に有効だと考えているわけです。
藤巻氏は、本書でご自身の相場予測がことごとく外れたことを認めていますし、藤巻氏は自らが主張する考え方にしたがって自身のポートフォリオを組んでいます。投資判断は自己責任が原則です。悲観論ばかりが溢れていますが、楽観論の論陣を張る代表的な論客として藤巻氏の意見も参考にしてみてはいかがでしょうか。
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