横浜市の小中学校の教員らで組織する日教組加盟の「横浜市教職員組合(浜教組)」が、中学校の社会科で市教育委員会が採択した歴史教科書を使わない「授業マニュアル」を作成、市内の教員に配布、利用を促していたことが14日、分かった。浜教組の“指令”は学校での教科書使用義務を定めた学校教育法に抵触するだけでなく、教科書を教委の責任で選ぶとした採択制度の根幹を揺るがす恐れもある。市教委では浜教組に文書で警告するとともに、各校の校長に採択教科書の使用徹底を通知した。

 問題になっているのは浜教組の機関誌「教文ニュース」の4月1日号として発行した「中学校歴史資料集」で、1万人以上の教師に配布された。市教委が昨年度に市内8区で採択、4月から使用されている自由社発行の「新編 新しい歴史教科書」について、「多くの内容上の誤りが指摘されている」などと批判。「江戸時代の身分制度」「大日本帝国憲法」「日露戦争」「アジア太平洋戦争」など6項目について、浜教組の「学習のねらい」のもとに独自の授業例を提唱している。

 提唱された授業案はいずれも他社の教科書記述や資料集、独自文献の引用で、採択された自由社の教科書を使わずに授業をする構成になっている。自由社の教科書は、従来の教科書を批判してきた「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーが中心になって執筆し、浜教組は採択に反発。神奈川県教組などとともに採択のやり直しなど自由社の教科書を使用させない運動を展開してきた。

 学校教育法では主たる教材として教科書使用が義務づけられている。また、教科書を教育委員会の責任で決めるとした採択制度を骨抜きにされる恐れもあるだけに市教委も事態を重視。浜教組の幹部を呼び、「極めて不適切」と文書で警告したが、「教科書を否定するものではない。組合活動に対する干渉だ」と、聞き入れなかったという。市教委は4月28日付で全中学校長に「採択教科書を必ず使用しなければならない」と指導を徹底する通知を出した。

 浜教組は産経新聞の取材に、「資料集の1つとして作成した。自由社の教科書を使わせないようにしたわけではない」と説明したが、「市教委の警告を真摯(しんし)に受け止め、回収も検討している」と対応に着手していることを明らかにした。 

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