「あっダラムサラへ行きたいんです」
「ああそう」

ぶ~~ん 軽自動車の姿があっという間に小さくなった
「聞くだけかよっ!!!!!!!」

落胆しかけた頃
「用意して!!」
とお兄さんが言う。遠くにバスが見える。
今度は兄さんだけじゃなく、おじさんたちも一緒に道路へ出て一生懸命合図してくれている。
が、猛スピードで通過。
諦めかけた時、停留所から50m先でバスが減速している。(止まってはいない)

「走れっ!!!」


走った。
お礼を言う暇なんかなかった。
後から追いついた切符売りのおじさんが大きな声で
運転手に

「あのジャパニはダラムサラへ行く」

と伝えてくれている。



再び乗車率140%のボロバスの乗客となった。



乗車後暫くして検札がきた。
今回の車掌は、どっから見ても間違いようもなく“THE公務員”って感じの神経質そうなおじさん。
切符を見ながら
「*#◇$%★」(またわからない)
「ダラムサラ」
「*#◇$%★?」
「ダラムサラ」
「*#◇$%★!?」
「ダラムサラ」
「・・・」

そうして何度も表と裏を見返したり、これまでの車掌さんたちのサインを入念にチェック。
とてつもなく長い時間に感じた。
そしてやっと車体番号を記入して無愛想につき返してきた。
意味もなく
「勝訴!!」
って気分だった。一体ナニに勝ったというのだろう…