ある日40歳オタク男のもとにある日やってきた
20代の中国のお嫁さん、「月(ゆえ)」。彼女が
『日本語学校に通いたい』
と願い出たときから物語は始まった。
彼女達と日本語にまつわるお話が秀逸で
ありました。
本書は書き下ろしなんだそうです。
『中国嫁日記』のヒロインである月(ゆえ)さんは
「日本語学校に通いたい。」
といったところから物語はスタートします。
授業料の高さに躊躇するも『取材費』と割り切って
ゴーサインを出す筆者こと『ジンサン』しかし、そこに
集う留学生は中国や韓国からやってくる人が大半で、
彼ら彼女らはその全員が主人公ではないかと
錯覚するような大変個性の強い人々ばかりで、
とても面白く読めました。
合間合間にはさまれている日本語に関する知識にも
「なるほど。そういうことだったのか!」
と何度も驚かされることがあり、普段何気なく使っている
言葉にもこういった成り立ちや意味があるのかと
思ってしまいました。
さらに、ATOK開発にもかかわった筑波大学教授
(日本語学)矢澤真人氏の執筆するコラムや、彼と
ジンサン&月が対談する回も見ごたえのあるものでした。
日本で使われている漢字と中国で使われている
漢字の『意味』の違い。
これに戸惑う月さんの『魂』の叫びは大学受験で
漢文をやっていた僕の叫びにも通じるものがあって、
そんなことを思い返しておりました。
そして東日本大震災を経て、彼らとの別れ…。
せつないラストで余韻を残しつつ、本書は幕を閉じるの
ですが、一つの日中比較文化の書として、
また、国際交流の書としても読め、多様な解釈のできる
マンガであると思います。
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月とにほんご 中国嫁日本語学校日記
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