ルーマニア・マンホール生活者たちの記録 (中公文庫) | 誇りを失った豚は、喰われるしかない。

誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)

本書はルーマニアのブカレストで

 

「チャウシェスクの子供たち」

 

と称されるマンホール内での生活を

 

強いられているホームレスの人々を

 

体当たりで取材したノンフィクションです。

 

「欧州の闇」を感じました。

 

 

 

 

「チャウシェスクの子供たち」

僕が彼らの存在を知ったのはTBS系列で

 

ひそかな人気を博しているテレビ番組

 

「クレイジージャーニー」にて犯罪ジャーナリストの

 

丸山ゴンザレス氏によるルポルタージュからで

 

ありまして、その中で強烈な存在を放っている

 

「ブルース・リー」が番組放送からしばらくして

 

逮捕された、というニュースは二重の衝撃を

 

与えてくれました。

本書は丸山氏と同じ問題を筆者の早坂隆氏が

 

文字通りの体当たりでマンホール内での生活を

 

強いられているホームレスの人々を取材した

 

ルポルタージュです。

 

ただ、本書の単行本が刊行されたのは2003年との

 

事であり、察するに作中の出来事は2000年前後。

 

そこからさらに時は流れて丸山氏が現地を取材

 

したのは2015年の話。

自分の中で両者の取材を比べてみて、EUの

 

持っている「闇」の部分といいますか、民族差別、

 

社会階層の対立、外国人排斥、家庭崩壊、

 

アルコール、シンナー中毒、HIV…。

 

こういったところはなんら変わっていないことを

 

知って慄然としてしまいました。

21世紀を迎えた欧州はテロリズムと分断が

 

跋扈する時代となってしまいましたが、

 

本書の中に記されている欧州の多様性と

 

その内部にひそむ混沌と矛盾がこれ以上顕在化

 

しないことを、切に願っております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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