マチネの終わりに | 誇りを失った豚は、喰われるしかない。

誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)

毎日新聞とnoteで連載され、終了時には「マチネロス」の

 

言葉を生んだ芥川賞作家、平野啓一郎氏による長編恋愛

 

小説です。

 

人生の「円熟期」を向えた男と女が惹かれ合う様子を

 

この上もない美しさで描いております。

 

 

 

 

 

毎日新聞と創作プラットフォームである「note」で

 

連載され、終了時には「マチネロス」の言葉を生んだ

 

芥川賞作家、平野啓一郎氏に世長編恋愛小説です。

 

僕も書籍化されたときにじっくり読んでみようと思い、

 

連載時は読まなかったのですが、単行本化されたものを

 

一気に読んで、自らの下した決断は「正解」であった事を

 

かみ締めております。

平野氏は本作に対して、


「何かと悲観的な気持ちにさせられる昨今ですが、

 

だからこそ、 せめて小説を読む時間くらいは、美的な

 

世界に浸って、精神的な高揚感を得たいと願い ながら、

 

この小説を執筆し続けました。」


とおっしゃっており、平野氏にかつむぐことができない

 

世界が最後まで僕を魅了し続けておりました。

本当はこの感想を読んでからすぐに書こうかと思って

 

おりましたが、どう向き合ってよいかがなかなか自分の

 

中で答えを見出すことができず、半年近くも延び延びに

 

なってしまい、


「いろいろ考えるよりも、先ずは手を動かしてみよう。」


と発想を切り替えて、キーボードを叩いております。

物語の主人公は天才ギタリストの38歳の蒔野と通信社

 

記者の40歳である洋子。この二人を軸に(僕も当時

 

手掛けていた仕事が破綻して「都落ち」を余儀なくされた)

 

リーマン・ショックの裏側に始まり、作者である平野氏も

 

心身に大きな影響を与えた「3.11」東日本大震災での

 

海外の目線や、長崎に落とされた原爆の悲劇…。

数々の要素が複雑に絡み合いながら物語が進み


「あぁ、コレを連載されていたときに読んでいたら1日中

 

物語に引きずり回されて気が気じゃなかっただろう

 

なぁ…。」


とある意味でほっとした事を覚えております。

別々のパートナーと結婚し、それぞれ子どもに恵まれ

 

ながらも蒔野と洋子の心中にはいつも互いの存在が

 

あり…。蒔野の音楽上のスランプや洋子の離婚…。

 

それらを経て彼らは再び出会いなおし、感動のフィナーレ

 

へと向かっていくまでは正に圧巻で、


「ここでこれをもってくるのかよ!」


とクライマックスを読んだ時は暫くの間、天を仰いだ事を

 

昨日のように覚えております。

極上の恋愛小説です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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